にいだの外壁ブログ~Vol.1 モルタル外壁編~

 皆様、こんにちは! エールハウス藤沢店スタジオ、二級建築士の新井田です。

 段々と暖かくなり、過ごしやすい日が増えてきましたね。皆様はゴールデンウィークはどの様に過ごされましたか?連休とはいえ、コロナウイルスの影響もあり、なかなか人が多く集まる場所には行くことが出来ませんでしたが、私は天気の良い日は趣味のドライブで車に乗りながら外の雰囲気を味わい良い気分転換ができました。

 さて、今回と次回の2回に渡って、『外壁材』についてお話ししたいと思います。

 まず、外壁材(外装材)にはどのようなものがあるのか、また、メリットデメリットなど詳しくご紹介したいと思います。

外壁材とは?

 外壁材とは、建物の外側を構成する壁材です。雨や風、日光などの紫外線から建物の構造体(柱など)を守る大変重要な役割があり、耐候性や遮音性・耐火性など様々な性能が求められる建材です。

 外壁材は建物の外観に大きく影響し、デザインのセンスが問われます。

外壁によって建物の印象は大きく変わります

 

昔の外壁

 建築基準法が確立する前は木の外壁が一般的に使用されており、杉板などの下見板を下から重ねて張る、下見張りの外壁を使用していました。

 更に古い家は土蔵造りと呼ばれる漆喰を塗った土壁が一般的でした。

下見張り工法

土蔵造りの外壁

 

現在の外壁

 現在は建築基準法が確立し、外壁材の耐火性が求められるようになりました。なので、使われる外壁材も変わってきています。ここでは主に、使われている外壁材をご紹介いたします。

  • モルタル外壁
  • 窯業系サイディング
  • 金属サイディング
  • タイル張り
  • ALCパネル(軽量気泡コンクリート)
  • 羽目板

 などが外壁に使われています。これらの中でもモルタル外壁サイディングがよく使われています。

モルタル

窯業系サイディング

 

 

 本日のブログでは、モルタル外壁についてご紹介いたします。

 

【モルタル外壁とは】

 モルタル外壁とは、セメント・砂を水で練った外壁材で、塗り方や塗装の仕上げ方によってデザイン性が自由で、かつ温かみのある味わい深い仕上がりになります。

 1990年より前に建てられた家でよく使われていた外壁材ですが、現在ではサイディングが主流になってきています。

メリット

 温かみのある仕上がりになる所や、サイディングとは違い、継ぎ目が無い強度があるなど意匠性や趣のあるデザインに仕上げたい方におすすめです。

デメリット

 ヘアークラックや、構造クラックなどのひび割れがおきやすいのがデメリットです。ヘアークラックとは比較的規模の小さいひび割れです。構造には影響せず、防水性は変わらないので、下塗りの際などに埋めてしまえる場合が多いです。構造クラックとは、建物に影響を及ぼすひび割れで、防水性が失われる可能性があり、補修が必要となります。

 また、汚れが目立ちやすいのもデメリットの一つです。何回もモルタルを塗り重ねる必要があるため、工期・コストがかかってしまうことや、塗膜により防水性を保っているため、10年ごとを目安に塗装する必要があるので、メンテナンスコストが掛かります

 

モルタル外壁の仕上げについて

 モルタル外壁の仕上げ方はざまざまで、それぞれの仕上げ方についてご紹介いたします。

リシン仕上げ

 リシン仕上げとは砂状に砕いた骨材にセメントや樹脂などを混ぜたものをスプレーガン等で吹き付ける仕上げです。安価で施工でき、通気性・透湿性に優れています

 吹き付けたリシンを剣山等で引っかいてザラザラにさせる事により、普通のリシンよりも落ち着いた雰囲気に仕上げる、リシン掻き落とし仕上げもあります。

リシン吹き付け

リシン掻き落とし

 塗膜が薄いので、防水性・耐久性に劣るのが欠点です。

 

スタッコ仕上げ

 石灰と水を混ぜたものにさらに骨材を混ぜて吹き付ける方法で、重厚感のある仕上がりになります。厚みがあるのでリシンよりも耐久性に優れています。

スタッコ吹き付け

 しかし凹凸が激しい分、汚れがたまりやすいのが欠点です。

 

吹き付けタイル仕上げ

 吹き付けタイル仕上げとは、複層仕上げ塗材と呼ばれる、紙粘土のような弾性のある塗料を、タイルガンという専用の機械で三回重ねて塗っていきます。

 骨材が含まれていないので弾性がある為リシンなどに比べ、ひび割れしにくいのが特徴です。吹き付け後にローラーなどで押さえて仕上る方法などもあります。

吹き付けタイル

押さえ仕上げ

 

左官仕上げ

 左官仕上げとは、職人がコテを使い模様をつけていく仕上です。意匠性があり大変オシャレに仕上がります。模様には連波や校倉などがあります。

連波イメージ

校倉イメージ

 職人さんの手作業なので味が出ますが、職人さんによって仕上がりに差が出てしまうのが欠点です。

 代表的な仕上げ材にはアイカ工業さんのジョリパットなどがあります。

ジョリパット

 

モルタル外壁の劣化

 モルタル外壁の基本的な劣化と、その補修方法についてご説明いたします。

チョーキング

 モルタル外壁に触れた際、手にチョークの粉のようなものが付着するのがチョーキングと呼ばれる現象です。チョーキングがおきているということは、紫外線などにより塗膜が劣化し、塗料の防水性能が低下している状態です

チョーキング現象

チョーキング現象

 

 モルタルは防水性能が低いため、チョーキングが起きると雨漏りの原因になりかねるので外壁塗装をする必要があります

 

雨だれ・コケ

 窓等に溜まっていた埃や汚染物質が雨により流れ出し、筋状に汚れが付着している状態です。

雨だれの様子

 構造上問題はありませんが塗膜の劣化を早める可能性があります。見た目も良くありませんがなかなか汚れが落ちないのが難点です。

 コケは塗膜の防水性能が低下し水が滞留している場所に発生します。

 

コケ繁殖の様子

 見た目は勿論、根酸という酸性物質を放出させるため、セメントを中性化させ劣化を早める・もろくさせる恐れがあります。

 

 どちらも高圧洗浄機で落とさなければなりません。

 

ひび割れ

 ひび割れにはヘアークラック構造クラックがあります。

  • ヘアークラック:幅0.3㎜以下、深さ4㎜以下のクラックで、構造に影響は無いので補修の緊急性はありませんが、そのまま放置してしまうとのちに構造クラックとなる場合があります。
  • 構造クラック:ヘアークラック以上幅、深さのクラックを言い、雨漏れの危険がある為早急に補修しなければなりません。補修方法はクラック部をVやU形にカットし、プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布しコーキングを充填します。

ヘアークラック

構造クラック

クラック補修

 

浮き・剥がれ

 経年劣化で、壁表面の塗膜が劣化し、付着力が低下する事でおきます。

モルタル外壁の剥がれ

 この状態では壁の保護は出来ていないので早急に補修する必要があります。補修方法はひび割れ部を剥がれない部分まで除去し、既存のモルタルとの厚みまで吹き付けをし、塗装します。

 

 いかがでしたか? 今回はモルタル外壁についてお話いたしました。次回はサイディング外壁について詳しくご説明致します。次回もおたのしみに!

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