皆様、こんにちは! エールハウス藤沢店、「率先して行動しよう!」をモットーに努めている二級建築士の新井田です。おかげ様で、毎日忙しくお仕事させていただき、様々な現場を経験しながら視野を広げ学び成長しております。
さて、前回のブログで、「住まいの構造によって異なる床の施工方法」についてお話させていただきました。
今回は、今も昔も木の持つ温かみと風合いで人気がある木造住宅の構造についてお話させていただきます。
■木造住宅とは?
木造とは構造耐力上主要な部分(柱・梁・土台など)に木材をつかう構造のことです。今も昔も木の持つ温かみと風合いで人気があり、日本の住宅の構造の中で一番普及している構造と言えます。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比較してみると・・・
<メリット>
- 建築費用を抑えることができる。
- 吸水性、吸湿性が高い。→温湿度が変化しやすい日本の風土に適した構造とされています。
- 設計の自由度が他の建築工法と比べて高く、間取りを自由に決めやすい。
- 修繕費用が安く、リフォームしやすい。
<デメリット>
- 他の建築工法と比べて、耐震性・防火性能が劣る。
■木造住宅の分類
現在、木造住宅を建てる工法は大きく分けると二つに分類されます。
- 木造軸組工法(在来工法)
- 木造枠組壁工法(2×4工法)
■木造軸組工法(在来工法)
日本で昔から発達して来た伝統工法を簡略・発展させた工法で、柱・梁などの軸組で建物を支えています。
■伝統工法とは・・?
伝統工法とは西洋建築学が日本に伝わる以前からの工法で、木の持つ特性を活かし、自然に対抗するのではなく自然と共存する思想により、釘を使わず木と木を組み合わせて建物を構成する工法です。筋交はほとんど使わず、柱と柱に貫と呼ばれる横架材を渡します。また接合部は釘や金物を使わず、仕口・継手を用いて接合しています。
地震などの揺れに対しては、建物自体がわずかに変形しながら揺れを吸収・受け流して、建物の倒壊を防ぐ「柔構造」となっています。
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【伝統工法の代表例】
*奈良県にある「東大寺」 創建年8世紀前半
世界最大の木造の建物として有名な建築物です。
今までで一度も大地震などの災害で倒壊していないことから、免震性能が高いことが伺えます。木造住宅の寿命は30年と言われていますが、伝統工法では築1000年を超える建物もあります。先人の知恵って凄いですよね。
■伝統工法→在来工法とはどのように変化しているのか?
現代では、建物の生産性・工期、また、多くの大工が施工できるよう考慮され、伝統構法に近代の構造力学の考えを取り入れた木造軸組工法(在来工法)が主流となりました。
最も変化した点は、伝統工法が柔構造なのに対して、在来工法は、剛構造となります。剛構造は、地震などの力に対して、ある一定の力まで変形しない構造となります。そして、建物の生産性・工期を考慮し、接合部に釘や金物などを用いられるようになりました。
*伝統工法から大きく変更した点
- 接合部は釘、金物によって緊結する。
- 基礎を束石からコンクリート基礎に変更し、柱・土台・基礎はアンカーボルトで緊結する。(補足)日本の住宅の大敵!であるシロアリが地面から出てきてもそこにはコンクリートの壁があり、木造部分まで上がって来ることはほぼ不可能です。そしてべた基礎には、建物の荷重を分散させ、建物を安定させる効果もあります。
- 壁は貫構法ではなく、筋交をいれ、耐力壁にすることで剛構造とする。
接合部を釘や金物にすることや、仕口・継手を工場で規格の寸法で加工し現場ではほぼ無加工で建てられるプレカットが主流となったことで、伝統工法に比べると、大工さんの現場での加工を大幅に削減することができ、工期を削減することが可能となりました。
■木造軸組工法(在来工法)のメリット・デメリット
<メリット>
- 軸で支える為、柱の位置や窓の位置、大きさなど、設計自由度は比較的高い。
- 軸で成り立っているため、将来の変更や改造が比較的容易。腐食部の交換など部分的に取り換えることも出来る。
<デメリット>
- 軸で支える構造のため、耐震・耐風力は2×4工法よりは劣る。
- 2×4工法のほうがシステム化されている。
- 2×4工法よりも多くの部材を組み立てていくため、比較的工期が長い。(補足)近年は構造材のプレカット化を行っている会社が多いので、工期の差はあまり無くなったと考えられます。
■木造枠組壁工法(2×4工法)
2×4工法と呼ばれるもので、基本構造は壁や床による面で支える構造です。箱状に組んでいく為、建築業界では「箱」と呼ばれる場合もあります。
■木造枠組壁工法(2×4工法)の歴史
発祥は、19世紀の北米で誕生しました。開拓者が自分で作る為の家として発案されたキットハウス(ミニログハウス)が原型となっています。
アメリカでは200年ほど前からの工法で、明治時代に日本にも入ってきました。
日本で建てられ始めたのは昭和49年、今から約50年ほど前です。日本では在来工法と比較すると歴史の浅い工法ではありますが、近年の日本の住宅形式の中心的な工法といえます。
■木造枠組壁工法(2×4工法)のメリット・デメリット
<メリット>
- 面で支える構造で、耐震性・耐風性は高い。
- 面の多くなる工法のため、防火性能で有利。
- 面を組み合わせて作る構造のため、高気密・高断熱である。
- あらかじめ工場で準備できる作業が多い為、全体的な工期が比較的短い。(補足)そのことによって、人件費削減が可能となります。
<デメリット>
- 面で支える為、耐力壁や窓の位置、大きさなど制約があり、在来工法よりは設計自由度が劣る。
- 規格が決まっており、耐力壁線の問題等で、将来の間取り変更や大規模なリノベーションが難しい。
- 高断熱・高気密の為内部結露対策が必要となる。
■まとめ
いかがでしたか?現代では、どちらの工法も、技術・製品の進歩によりそれぞれのメリットはさらに伸び、デメリットは改善が進められ、格段に安全で住み良いものになっています。
例えば、在来工法では、耐震・耐風性を高める為に、筋交いだけでなく柱と柱の間に構造用面材を貼ることで、力を面でも捉えるのが基本となり、防火性能についても、素材の選び方によって十分に必要な性能は確保できます。また、2×4工法でも、構造計算してできるだけ自由な間取りを可能にできるよう設計の自由度についても努められています。
家を建てる際の状況や用途、求める性能、予算などを考えた上で一番適した工法を決めるのが好ましいのかと思います。是非参考にしてみてください。
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