住まいにおける「玄関」の役割 ~設計における玄関の考え方~

こんにちは!エールハウス旭店スタジオ、二級建築士・整理収納アドバイザーの笹川です。

突然ですが、みなさんの家はどんな玄関ですか?

玄関は家族が出入りする最初と最後の空間であり、「お客様を最初にお迎えする場所」、風水上では「運気が入ってくる場所」と言われる空間です。そんな玄関は、いつでもすっきりと清潔に、明るい場所であることが重要です。

今回は設計における玄関の考え方を、プラン例や実例をもとにご紹介します。

 

玄関は気持ちを切り替え、心の準備をする空間

私たちは外出する時、玄関で靴を履きながら、無意識のうちにモチベーションを高めています。反対に自宅であれ、訪ねた先のお宅であれ、靴を脱ぐと少しホットした気持ちになります。このように、玄関を設計する時には、【靴を履く】・【脱ぐ】という動作によりモチベーションを高め、わが家に帰った時には安堵感を得られる空間であることが求められます。

 

■ゾーニング/外回りとの関連について

道路の位置や高低差、外部階段の有無、車庫との関係、門からのアプローチ等、敷地や近辺の状況を考慮したうえで決定します。注意したいのは隣家側に玄関を配置された場合、隣家との距離、玄関のドアを開けた時の景色です。場合によっては、視線を遮る方策を考えなければならない時もあります

玄関の前に目隠し

玄関目隠し

 

■玄関のプランニングポイント

玄関は住まいの顔であり、お客様をお迎えする大切な空間であること。このことはプランニングの段階からしっかり認識しておくことが、まず大切です。

  • 玄関廻りで収納したいモノ、置いておきたいモノ、今使っているモノを考える。
  • 出掛ける時、帰宅時の動作を考える。帰宅後すぐに手を洗えるスペースを作ることもおすすめ。
  • 狭い敷地の場合では、玄関とLDを一体化させたオープンなプランの検討も。
  • 玄関土間では、靴やコートの着脱がラクに出来るスペースを。
  • 玄関にウォークインタイプの収納を設けると物置代わりになります。ベビーカーやゴルフバッグ、スポーツ用品も収納できて便利。
  • 傘立てやスリッパ立ての置き場を決めます。スペースがない場合は、玄関収納の扉裏にしまえるタイプも検討を。
  • 高齢者のために、座って靴をはけるベンチや手すりを設けるといった工夫、バリアフリーの検討を。
  • 坪庭を設けて欄間や地窓、スリット窓などにより、プライバシーの保護と採光、通風を両立することもできます。

 

■玄関のプラン例・実例

ここからは、プラン例や実例をご紹介します。

 

玄関入口の正面に中庭を配したプラン

玄関入口の正面に中庭を配したプラン

玄関に一歩踏み込むと驚くほど開放的な空間が広がります。大胆に「コの字型」にくり抜いた中庭。居ながらにして豊かな自然を感じることができます。

玄関入口の正面に中庭を配したプラン-イメージパース

玄関・ホール・和室から眺められる坪庭で『四季を感じられる暮らし』、素敵ですね。

 

玄関にシューズクロークを設けたプラン

玄関にシューズクロークを設けたプラン

  • 使い勝手の良いダブルアクセス
  • L字型に設けられた壁面の棚により、多くの靴の収納が可能に
  • 履物だけでなくコート掛けや傘立て、その他ゴルフバッグ等スポーツ用品の収納に便利

玄関にシューズクロークを設けたプラン-イメージパース

玄関にシューズクロークがあると、様々なモノの収納にとても便利です。さらにダブルアクセスにすることで、家族の靴の脱ぎ・履きをシューズクローク内ですれば、いつでも玄関廻りはスッキリとすることが出来ます。たくさんの靴が玄関に脱ぎっぱなし!置きっぱなし!状態は避けられます。

 

玄関にシューズクロークを設けた実例

玄関にシューズクロークを設けた実例

こちらのプランは、玄関からシューズクローク、その先に洗面室へとつながる間取りとなっています。

壁面の両側に棚を設け、様々なモノを収納できるようになっています。可動棚となっているので、収納したいものに合わせて調整することが可能です。

シューズクロークから玄関へ

シューズクロークから洗面室へ

こちらの間取りでは、シューズクロークの先に洗面室を配置しました。この間取りのおすすめポイントは、

  • 帰宅後シューズクロークで上着を脱ぎ、洗面室で手を洗う動線ができる
  • 外で汚れてきた服を家の中を歩き回らずに洗濯機に入れられる
  • 帰宅後そのまま入浴/シャワーを浴びられる
  • ベビーカーや子供の外遊びおもちゃ、ゴルフバック、キャンプ用品など、そのまま収納できる
  • 玄関廻りがすっきりする

お子さんが元気に外で遊んでどろんこで帰ってくるご家庭や、花粉症のご家族がいるご家庭の方などにもおすすめです。

 

玄関を吹き抜けにした実例

玄関を吹き抜けにして開放的に

玄関上部を吹き抜けにし、吹き抜けに窓を設置。上部からの自然光で明るく開放的な空間となりました。

玄関ホールに階段・吹き抜け空間に

玄関ホールに階段がある間取りです。吹き抜けの上部は勾配天井なので、天井がより高くなっています。階段の手摺を手摺壁ではなくスリット手すりにすることにより、玄関空間に拡がりが出ます。

広さを大きく取れない際も上部吹抜けで開放的に

玄関が吹抜けではない場合

 

こちらの写真は同じ間口の玄関になります。玄関スペースを大きく取れない場合でも、上部を吹抜けにすることでと広く感じられます。また、内装の色彩を白や明度の高いものにすることも部屋を広く見せるポイントです。

 


家の設計では、玄関だけでも様々なことを検討します。今回は主に、玄関の間取りについてお話しましたが、内装のカラーや素材、玄関収納や玄関ドアデザイン、照明、細部の寸法なども、検討が必要です。

これからも、住まい手のそれぞれの玄関の使い方、玄関の役割を考えながら、こだわりの住まい創りを心掛けていきます。

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