住まいにとって縁の下の力持ち!排水のおはなし♪

 みなさん、こんにちは! エールハウス藤沢店、リノベーションアドバイザーの川西です。

 今回は建物の排水について少し紐解いてお話ししたいと思います。排水の日々のメンテナンスについても、ブログ後半でご紹介いたします!

 私もこの仕事に就くまではそうだったのですが、皆様も建物の排水管のことを考えたことは意外と少ないのではないでしょうか。

 非常に地味ではありますが、排水設備は大事なお住まいにとって無くてはならない設備であり、まさにお住まいにとって縁の下の力持ちなのです。

 

排水を建築基準法で紐解く!

 排水設備は、その構造方法や設置方法が建築基準法により定められています。

 建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水の為の配管設備を安全上及び衛生上支障の無い構造とするために、いくつもの決まりごとが記述されています。数ある規定の中のいくつかの項目を挙げてみます。

  1. 排水管は掃除口を設ける等保守点検を容易に行うことができる構造とすること
  2. 2重トラップとならないように設けること
  3. 排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に阻止できる構造とすること
  4. 排水設備は陶器、コンクリート、れんが、その他の耐水性の材料で造りかつ、漏水を最小限度のものとする措置が講ぜられていること(雨水管は浸透)
  5. マスの底には、雨水にあっては深さが、15センチメートル以上のどろためを、汚水にあっては、接続する管渠(※1)の内径又は内法幅に応じ相当のインバート(※2)を設けること

 などがあげられます。

※1 管渠(かんきょ:給水・排水を目的として作られる水路全体を指す)

※2 インバート(トンネル底面の逆アーチに仕上げられた覆工部分)

 さて、実際に上記のポイントを一つひとつご説明したいと思います。

 

1.排水管は掃除口を設ける等保守点検を容易に行うことができる構造とすること

 配管内で何か詰まってしまった場合、メンテナンスが出来る部分がないと大変です。その為に外部の配管の要所要所(何ヵ所の排水が合流するところ、配管の曲がり部分など)に排水マスや掃除口を設けるのです。基本的にはキッチン、浴室、トイレ、洗面室、各水周りの排水管の外部取り出し部分に1ヵ所は排水枡が設けてある場合が多いです。

 排水で何か問題があった場合は、ここから処置が可能になります。

 

2.2重トラップとならないように設けること 

3.排水管内の臭気、衛生害虫等の移動を有効に阻止できる構造とすること

 衛生設備機器の排水部品には、トラップという排水管からの臭気・害虫などの侵入が無いように、水溜り面を設けてあります。しかし、排水ます側にも臭気止めの為にトラップが設けられている場合があります。これを2重トラップもしくはダブルトラップといいます。

 この場合、室内のトラップと室外のトラップの間の配管の中の空気が動かず水が流れにくくなってしまいます。主にリフォームの際に新しい設備機器を入替えした際、特に在来タイル浴室からシステムバスにする場合に留意が必要です。

図)2重トラップ

 

4.排水設備は陶器、コンクリート、れんが、その他の耐水性の材料で造りかつ、漏水を最小限度のものとする措置が講ぜられていること(雨水管は浸透)

 排水管の材質は、以前は陶管という粘土を焼いて造った土管が使われていましたが、衝撃に弱く、長い尺がとれない、生産性が悪いと言った点で、今現在は埋設管のほとんどが塩化ビニル管に取って代わりました。現在は主に、農地など過剰な地下水を処理する為の、暗渠排水用の吸水管として利用されていたりします。

陶管(土管)

 ちなみに、土管というとドラえもんの例の空き地にある、3つ重なった土管を連想されると思いますが、あれは恐らく『ヒューム管』というものです。鉄筋コンクリートで出来た管で、主に内径1,000mmを超える、大径幹線水路などで現在も主流の管として施工されています。

ヒューム管

 戸建て住宅の埋設管は、今現在のほとんどが硬質塩化ビニル管となっており、その中でもVP管とVU管という名称に分かれます。違いは管の肉厚の違いになり、適材適所に使い分けて施工します。

塩化ビニル管

 

5.マスの底には、雨水にあっては深さが、15センチメートル以上のどろためを、汚水にあっては、接続する管渠(※1)の内径又は内法幅に応じ相当のインバート(※2)を設けること

 雨水のマスには雨水と一緒に流れてきたゴミや汚泥を沈殿させ、取り除いた雨水だけを排水できるように、深さ15cm以上の泥ためを設けなくてはなりません。このような排水枡を『ためマス』などと言ったりします。

 『ためマス』は泥が溜まったら定期的に取り除く必要がありますが、塩ビ製のためマスだと商品によっては泥ためが取っ手付のバケツになっており、取外して清掃が出来る便利なものもあります。

 汚水の枡には、その底板部分に汚物がしっかりと流れるよう、接続配管径と同じ径の溝を設けなければなりません。それを『インバート』といい、塩ビ製の枡には『インバート』が成形されています。コンクリート製の枡の場合は、職人さんが底板を現場で成形していました。この作業を“インバートを切る”という言い方をします。

排水マス・インバート

 

排水のメンテナンス

 排水について、少しわかっていただけたかと思います。次は、その排水設備の日々のメンテナンスはどうすれば良いかまとめてみました。

 まず、排水枡の蓋を開けてみましょう。塩ビの枡だとマイナスドライバーで爪を掛ければ簡単に開きます。

 コンクリート蓋の場合は重いので、指を挟まないようご注意下さい。また、久しく点検などされていないと蓋の周りが砂などで詰まり、かなり開きづらくなっていますので注意が必要です。

 

確認ポイント1:水が溜まっていないか

 蓋が開いたら、インバートに水が溜まっていないか確認します。本来インバートは排水の通り道なので、水が溜まらず通り抜けるだけです。水が溜まっているようでしたら、その先の排水管でつまっているか、配管の勾配が充分にとれておらず、流れが悪くなってしまっている可能性があります。

 

確認ポイント2:管の継ぎ目に隙間はないか

 コンクリート枡の場合、インバートと塩ビ配管の継ぎ目に隙間は無いか確認しましょう。隙間があると水が流れる度に地面に汚水が浸透していきます。放っておくと、枡の下の地面が陥没し、配管や枡を破損させてしまうのはもちろん、最悪、建物にも影響を与えてしまう場合があります。更に、隣地と高低差があり、隣地の敷地のほうが低い場合は、浸透した汚水が隣地へと流れ出てしまい、近隣トラブルになる事例も少なくありません。

 また、配管と枡との繋ぎ目に隙間があると、そこから植栽などの根が進入し、配管内を横断して完全に水を詰まらせてしまう場合があります。

 このように定期的な排水設備の点検はとても重要です。

 次回は実際に排水設備の修繕施工例をご説明させていただきます。

 

 当社では排水桝の無料点検を実施しています。どうぞお気軽にお声掛けください。地域密着のエールハウスにご相談くださいませ♪

 

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