【屋根メンテナンスの基礎知識】保守点検前に知っておいて欲しいこと

 こんにちは! エールハウス藤沢店、二級建築士・整理収納アドバイザー1級の笹川です。今回は【屋根メンテナンス】について解説しようと思います。

 ところで、屋根のメンテナンスとは、いったいどんなことをするのでしょうか?実際にリフォーム工事を行うのと、どう違うのでしょうか?いつやったらいいのか、どれぐらい費用がかかるのか気になりますよね。

 そんな疑問に答えるため、本ブログで屋根メンテナンスの基礎知識をまるごと解説します。ご検討中の方は、参考にしてください。

 今すぐ屋根メンテナンスのご相談をご希望の方は、ぜひ弊社にお問い合わせください。弊社では、ドローンによる無料屋根診断もおこなっております。

 

屋根のメンテナンスとは?リフォームとの違い

 ではさっそく、屋根メンテナンスと屋根リフォームの違いからご説明します。

 屋根のメンテナンスの目的は、屋根が正常な状態を保てるように管理することです。屋根・板金・瓦の専門家が目視やドローンを使って点検をおこない、異常や兆候が見つかったら早期に解決します。

 適切なメンテナンスは屋根の寿命を延ばし、修繕コストを削減する効果が期待できます。人間で言うと「予防医療や早期発見、重篤化する前に治療」みたいな感じでしょうか。

 一方、リフォームは修繕や改修のためにおこないます。保守管理ではなく、問題や悩みの解決事態が目的になります。

 メンテナンスが「人間ドック」なら、リフォームは「手術」と言ったところでしょうか。

 なお、屋根リフォームについてはこちらで詳しく解説しています。詳しくしりたい方は、ご覧ください。

»【屋根リフォームの基礎知識】工事をする前に知っておいて欲しいこと

 つづいて、メンテナンスの際にどんな点検をするのか屋根材別にチェック内容をご紹介しましょう。

化粧スレート(コロニアル、カラーベスト)

 化粧スレートとは、セメントと繊維素材を混ぜて作った薄い板状の屋根材です。屋根材の中では、現在もっとも普及しています。

 化粧スレートは「コロニアル」や「カラーベスト」とも呼ばれます。これはケイミュー株式会社が持つ商標なのですが、化粧スレートの代名詞になっています。

 では、化粧スレートの点検項目をご紹介します。

  • コケ、藻、カビが生えていないか
  • 塗膜が劣化していないか
  • 割れ、反り、ズレなどの異常はないか
  • 抜けている箇所はないか

 化粧スレートはセメント質ですので、そのままでは水を吸って劣化してしまいます。ですので表面が塗装されていて、塗膜が防水の役割を果たしています。

 化粧スレートは、塗膜が機能を失う前の兆候を発見することがメンテナンスを行なう際の大事なポイントになります。

ガルバリウム鋼板

 ガルバリウム鋼板は薄い金属製の屋根材で、主成分はアルミニウムや亜鉛です。建築業界では「GL鋼板」と呼ばれることもあります。

 とても軽く、重ね葺き(カバー工法)でよく使用されます。耐震面でも優秀な屋根材ですが、断熱性や遮音性・吸音性が弱いです。

 ガルバリウム鋼板の点検項目は、以下のとおりです。

  • サビている箇所はないか
  • 塗膜が劣化していないか
  • 反りや酷いキズなどの異常はないか
  • 穴があいている箇所はないか

 ガルバリウム鋼板はサビにくいですが、全くサビないわけではありません。サビや塗膜の劣化は、要チェックポイントです。サビを放置すると、腐食して穴があくこともあります。

 物が飛来してぶつかることで、キズが付くケースもあります。キズからサビが進行することもあるので、早めに補修することが大切です。

 瓦は、和風建築ではもっとも馴染みが深い屋根材ではないでしょうか。

 粘土を焼いて作る日本瓦(いぶし瓦、釉薬瓦など)の他に、セメント瓦モニエル瓦(コンクリート瓦)などがあります。

 瓦の点検項目は、以下のとおりです。

  • コケ・藻・カビが生えていないか
  • 欠け・割れ・ズレなどの異常はないか
  • 抜けている箇所はないか
  • 漆喰が劣化している箇所はないか
  • 塗膜が劣化していないか(セメント瓦、モニエル瓦)

 日本瓦は塗装不要で、メンテナンスフリーと言われることがあります。しかし、割れたり、接着や防水に使われる漆喰が劣化したりするので、保守管理が必要です。

屋根材以外

 屋根材以外の点検箇所も、ご紹介しておきます。

  • 樋に落葉やコケが詰まっていないか
  • 雨漏りの形跡はないか
  • 屋根がたわんでいる箇所はないか
  • 板金がサビていないか

 家の近くに山や木があると、落葉やコケで樋の流れが悪くなることがあります。大雨のたびに屋根の樋があふれているようなら、すぐに点検したほうがいいでしょう。

 雨漏りの跡や屋根のたわみも、見逃せません。下地材や家の構造材が腐朽している可能性があるので、緊急で修繕が必要なケースもあります。

 雨漏りについては、こちらの記事で詳しく解説しています。気になる方は、ご覧ください。

» 屋根から雨漏り発生!?修理前に知っておくべき予備知識

劣化症状別の対策

 点検の結果、劣化や劣化の兆候が見つかったら対策を打ちます。

 参考まで、症状別に対策の例をご紹介しましょう。

症状

対策の例

コケ・藻・カビが生えている

様子見(ひどい場合は高圧洗浄)

屋根材の一部が抜けている

不良がある屋根材を差し替え

欠け・割れ・反り・ズレ・傷などがある

穴があいている

屋根材や板金がサビている

塗り替え

塗膜の防水機能がなくなっている

漆喰が劣化している

雨漏りの形跡がある

下地から修繕

屋根がたわんでいる

 屋根の場合、雨漏りで異常に気が付く方が多いのではないでしょうか。

 雨漏りが発生しているなら、異常は屋根だけでなく家の構造にまで及んでいるかもしれません。そうなると、修繕に大きなコストがかかります。

 そんなことになる前に、体で言えば「未病」のときにトラブルを見つけ手を打つことが大切です。ですから、屋根は定期的にメンテナンスすることが重要なのです。

屋根のメンテナンスを怠ると、どうなるのか

 屋根のメンテナンスを怠たるとどうなるのか、も少し詳しく解説します。

屋根トラブルが発生する

 屋根の異常を放置した結果、起こる可能性があるトラブルをご紹介します。

  • 美観が損なわれる
  • ダニやカビが繁殖する
  • 虫や小動物が侵入する
  • 屋根材が落下する
  • 雨漏りする
  • 下地が腐朽する
  • 屋根が崩れる

 屋根材が汚れているだけなら、見た目が悪くなる程度の問題で済みますが、穴が空いたりルーフィング(防水シート)が劣化したりすると、虫や小動物、雨水が建物内に侵入し始めます。

 雨水は、建材を劣化させて弱くします。たとえばルーフィングの下にある野地板(下地)が腐朽すると、地震や台風のときに屋根に穴が空いたり崩れたりすることも起こり得ます。

 そこまでいかなくても、ダニやカビが繁殖するとシックハウス症候群の原因になります。屋根は防水機能を保つことが大切なのです。

高額のリフォームが必要になる

 屋根はトラブルが進めば進むほど、修繕や改修リフォームの規模が大きくなります。

  • 小規模 ⇒ 部分補修(2~50万円)
  • 中規模 ⇒ 屋根改修(50~200万円)
  • 大規模 ⇒ 屋根改修+建物改修(200~1,000万円)

 屋根の掃除や破損した屋根材の差し替え程度で済めば、あまり費用はかかりません。塗り替えや葺き替えが必要になると「痛い出費」といえるぐらいの費用がかかります。

 室内までトラブルが出始めると、貯金だけでは払えないほどの金額になることもあります。そうならないようにするのが、メンテナンスの大事な役割のひとつです。

屋根のメンテナンス時期

 さて、ここまでメンテナンスの意義について説明してきました。では、どれぐらいの頻度でメンテナンスしたらいいのでしょう。

 屋根材の耐用年数は、けっこう長いです。しかし、10年に1度は専門業者に依頼して異常がないか点検してもらうことをお勧めします。

 参考まで、屋根材の耐用年数の目安を載せておきます。

屋根材

耐用年数の目安

化粧スレート

20~30年

ガルバリウム鋼板

20~40年

セメント瓦

30~40年

日本瓦

50~80年

ルーフィング(防水シート)

20年前後

 先述のとおり、化粧スレートやガルバリウム鋼板、セメント瓦は塗装されています。塗料の耐用年数も確認しておきたいところです。

 屋根材に使う塗料の耐用年数は、主に塗料の主成分である「樹脂」によって決まります。以下に目安を載せておきます。

塗料の種類

耐用年数の目安

アクリル樹脂塗料

5~7年

ウレタン樹脂塗料

8?10年

シリコン樹脂塗料

10?15年

フッ素樹脂塗料

15?20年

 点検するにあたり大事なことは、心から信頼できる業者に頼むことです。誠実さに欠け疑いの余地がある業者に依頼すると、何を聞いても信用できなくなります。

 「点検で『修理が必要』と言われたけど、本当かな?」と思われた方は、他の業者にセカンドオピニオンを聞くのもひとつの方法です。

 簡易な点検だけなら、無料でやってくれるところが多いです。遠慮せず、納得いくまで信頼できる業者探しをしてみてはいかがでしょうか。

屋根メンテナンスの費用

 万が一、リフォームが必要になった場合の、費用の目安も載せておきましょう。

 今回は延べ床面積30坪2階建て住宅の場合を想定して、一般的なリフォーム価格をご紹介します。リフォーム価格は材料、施工面積、屋根形状で大きく変わるので、参考程度にご覧ください。

リフォーム内容

リフォーム代金の目安

差し替え

5~50万円

塗り替え

30~80万円

重ね葺き

80~150万円

葺き替え

100~200万円

 2m以上の高所作業は、足場を建てます。屋根リフォームでも、足場を建てることがほとんどです。

 足場代は15~20万円ぐらいかかるので、金銭的な負担になります。外壁のメンテナンスも屋根と一緒にする方が多いのは、足場代を節約するためです。

屋根メンテナンスの注意点

 最後に、屋根メンテナンスでよくある3つの疑問にお答えしたいと思います。

DIYでメンテナンスできるか?

 屋根のメンテナンスは、素人には難しいです。「点検 ⇒ 不良個所の発見 ⇒ 修繕や改修」という流れのどこを取っても、プロの目やプロの技術に任せた方が安心です。

 さらに、屋根は転落のおそれがあり危険をともないます。プロに足場を設置してもらう必要があるので、100%DIYでやるのは難しいでしょう。

日本瓦はメンテナンスフリーなのか?

 日本瓦自体は50年以上の耐用年数があり、建物より長く持ちます。しかし、台風や地震で割れたりズレたりすることがあるので、点検や修繕がまったく不必要というわけではありません。

 さらに、漆喰や瓦の下に敷かれたルーフィング(防水シート)の耐用年数は20年前後で、防水効果がなくなると雨漏りしやすくなります。

 瓦はほぼメンテナンスフリーですが、屋根の点検や修繕・改修は必要です。

訪問業者に点検を依頼しても大丈夫か?

 残念ながら、訪問業者の中には悪質な業者がいます。自治体や国民生活センターが注意喚起しているので参考にするといいでしょう。

 とくに震災後や台風のあとは要注意です。便乗して悪質な勧誘をする業者が現れやすいです。

参考:慌てて契約しない!屋根の修理サービス-震災に便乗した悪質な勧誘に注意-

 上述のリンク先ページでは、以下のケースがあったと注意換気されています。

  • 「早く工事をしないと大変なことになる」と不安をあおるような言葉を使い契約させる
  • どのような工事をするのかあまり説明せずに工事を行い、高額な修繕費用を請求する

 すべての訪問業者が悪いわけではありませんが、用心した方がいいでしょう。

【まとめ】屋根のメンテナンスの基礎知識

 屋根メンテナンスの目的は、保守点検です。問題がないか点検して、リフォーム時期のサインを見逃さないようにします。

 屋根のメンテナンスを怠り問題が発生しているにもかかわらず放置すると、風雨から家を守れなくなります。その結果、雨漏りや木材の腐朽、カビの繁殖といったトラブルが発生します。

 屋根は、少なくとも10年に1度は点検されることをオススメします。点検の際は、信頼できる業者に依頼しましょう。

 なお弊社は1978年創業で、経験豊富な1級建築士や職人が多数在籍しております。屋根メンテナンスも承っておりますので、屋根のことでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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