屋根から雨漏り発生!?修理前に知っておくべき予備知識

 こんにちは! エールハウス藤沢店、二級建築士・整理収納アドバイザー1級の笹川です。

 近年、大型台風やゲリラ豪雨の影響で雨漏りが増えているのではないかと思います。「気づいたら、天井に雨漏りのシミができていた」なんて方もおられるでしょう。急に天井から水がしたたってきた日には、ビックリしますよね。

 さて、そんなときはいったいどこに相談したらいのでしょうか。もし、雨漏りを放置したらどうなるのでしょうか。

 結論から言うと、雨漏りは建築会社に相談して早急に修理することをおすすめします。雨漏りは早く対応すればするほど、修理費用を抑えられます。

 本記事では、修理前に知っておくべき屋根の雨漏りの予備知識をご紹介します。雨漏りでお悩みの方の参考になると思いますので、ぜひご覧ください。

雨漏りが発生したら、どこに相談すべきか

 さっそく、雨漏りを発見したときの相談先からご紹介しましょう。もしご自宅で雨漏りが発生しているのであれば、早急に相談することをおすすめします。

どこに相談すればいいの!?

 雨漏りを修理するには、複数の業種の職人を手配する必要があります。ですので、雨漏りが発生した際は建築会社に相談することをおすすめします。

 瓦業者や板金業者、大工など個別に相談するよりは、建築会社に相談して総合的な判断で適切な職人を手配してもらうほうが安心です。

 参考までに、どんな職人が必要かご紹介しましょう。

雨漏りの原因

必要な職人

瓦屋根

瓦屋根職人

化粧スレート屋根

板金職人

金属製屋根

板金職人

板金や樋

板金職人

屋根材の下地や構造

大工+瓦屋根職人や板金職人

 雨漏りは、外壁や窓サッシが原因になっていることもあります。こちらもご紹介しておきましょう。

雨漏りの原因

必要な職人

サッシ職人またはサッシメーカー

外壁材やコーキング(シーリング)

外壁職人

 屋根も外壁も、電気工事業者が必要になるケースもあります。(たとえばアンテナの取り外しや、エアコンの配管および室外機の移動が必要な場合)

 ご自分で状況に合わせて「大工・瓦職人・板金職人・電気工事業者」などの職人を手配するのは、大変です。建築会社に任せましょう。

 なお、雨漏り箇所の特定には専門の機材を使うこともありますが、目視や経験に裏打ちされた勘も必要です。信頼と実績がある建築会社に依頼しましょう。

 弊社も、横浜・藤沢・逗子・横須賀・湘南エリアで建築工事全般を承っております。雨漏りのことでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

 

雨漏りの調査方法と費用の目安は!?

 雨漏りを発見したら直ぐに業者を呼んで見て欲しいところですが、費用が気になりますよね。以下に雨漏りの調査方法と費用を載せておきますので、参考にご覧ください。

目視調査

 費用の目安は「無料~3万円」です。

 雨漏り箇所を推測して、屋根や天井裏を目で見て確認します。調査員の経験値で精度が変わるので、経験豊富な業者に頼むほうが安心です。

散水調査

 費用の目安は「3~20万円」です。

 原因と考えられる箇所に散水して、雨漏りが再現するか確認します。足場が必要になって大きな費用がかかることもあります。

発光液調査

 費用の目安は「10~25万円」です。

 原因と考えられる箇所に紫外線で発光する検査液を流し込み、雨水の浸入口を特定します。原因箇所が複数考えられる場合は、それぞれ色を変えて流し込みます。

 検査液は無色透明で、数日で発光しなくなるものがほとんどです。

赤外線サーモグラフィー調査

 費用の目安は「20~35万円」です。

 高感度赤外線カメラで撮影して検査する方法で、散水調査と合わせて使用することがあります。周囲の家が密接していると使えません。

 サッシや外壁に原因があると考えられるケースに向いています。屋根(とくに金属屋根)には不向きです。

※ 修理や改修が必要な場合は、状況に合わせて別途リフォーム費用がかかります。

雨漏りの修理に火災保険が使えるの!?

 実は、雨漏りの修理工事には火災保険が使えるケースがあります。意外と忘れがちですが、火災保険は火災以外にも利用できます。

 火災保険が適用できるのは「自然災害(風災・雪災・雹災)による損害であると認められた場合」です。

 たとえば、以下の状況であれば火災保険が使える可能性があります。ご利用になられている損保会社に相談してみましょう。

  • 台風で瓦がズレた
  • 雪の重みで雨どいが壊れた
  • 強い風雨で瓦屋根の漆喰が崩れた
  • 雹(ひょう)が当たって屋根材が破損した

 逆に、以下の状況は対象外になり、火災保険が使えません。

  • 建物の経年劣化
  • 屋根・外壁リフォームの施工不良
  • 風災・雪災・雹災と判断できないケース

 余談ですが、太陽光ソーラーパネルの施工不良による雨漏りも火災保険が使えません。屋根周りの工事は雨漏りに直結しやすいので、信頼できる施工業者を選びましょう。

雨漏りを自分(DIY)で修理してもいいのかな!?

 雨漏りの原因を特定するには、知識と経験に裏打ちされた勘が必要です。プロでもミスすることがあるぐらいで、素人には難しい作業と言えます。

 DIYで修理してよくあるのが、すぐに再発するケースです。原因が違うところにあったり、修理方法が適切ではなかったりすると起こります。

 塞いではいけない隙間を塞ぐ失敗も、よくあります。屋根の部材は排水のためにわざと隙間をあけている箇所があり、そこを塞いでしまうと侵入した雨水の逃げ場がなくなり、雨水が建物に回ります。

 また、高所作業は落下の危険もあるので、プロに任せることをおすすめします。

雨漏りを放置すると、どうなるか

 雨漏りを放置すると、どうなるのでしょうか。水滴が落ちてきたらさすがに修理すると思いますが、シミぐらいなら「まぁ、いいか」と思ってしまいそうですよね。

 結論から言うと、雨漏りの放置は建物にとってよくありません。見つけたら、可能な限り早急に点検すべきです。

 雨漏りを放置すると、たとえば以下のようなトラブルに発展することがあります。

  • 建材の劣化が進行する
  • カビやダニが繁殖する
  • シロアリの食害を受ける
  • 漏電する

 室内の天井に雨漏りのシミがあるなら、小屋裏や壁体内は長い時間、雨水で濡れた状態になっているかもしれません。放っておくと木材の腐朽やカビ・ダニの繁殖原因になります。

 カビは、シックハウス症候群の原因のひとつです。人間が吸い込み続けると気分が悪くなったり、咳が止まらなくなったりします。

 シロアリは湿った環境を好むので、雨漏りしている小屋裏(屋根裏)は食害に遭いやすくなります。シロアリに食べられた木材は脆く水を吸いやすいので、腐朽が進むこともあります。

 雨が降るたびにブレーカーが落ちたり、家電の調子が悪くなったりするようなら、雨漏りが原因で漏電しているかもしれません。

 住人と家の健康を考えるのであれば、雨漏りを発見したら早急に対応するほうが良いでしょう。雨漏りの影響が小さいうちに修理することで、リフォーム費用を抑えることもできます。

屋根の雨漏りの原因

 雨漏りを発見すると「え?なんで?どこから?」と思う方もおられると思います。雨漏りの原因を5つご紹介しておきましょう。

屋根材の破損や経年劣化

 屋根材の割れ、ヒビ、浮き、一部落下は雨漏りの原因になります。塗装してある屋根材(化粧スレートやセメント瓦など)は、塗膜の劣化から雨漏りに発展するケースもあります。

 瓦屋根は、棟(むね)と呼ばれる箇所付近に漆喰が塗られています。漆喰が劣化すると、内側の葺き土(ふきつち)が流れ出て棟がずれたり崩れやすくなったりします。

 トップライト(天窓)のパッキンの劣化や屋上ベランダの防水劣化も、雨漏りの原因になるので注意しましょう。

ルーフィング(防水シート)の経年劣化

 屋根の防水は、屋根材とルーフィング(防水シート)の二段構えになっています。

 万が一屋根材にトラブルがあっても、ルーフィングがちゃんと機能していたら屋根から屋内に水が染み込む可能性は低いです。ですので、ルーフィングは屋根の防水に欠かせません。

 ルーフィングの耐用年数は、おおよそ20~30年です。ルーフィングの交換は、屋根材をすべてはがす必要があります。

板金の経年劣化

 雨漏りの原因で特に多いのが、板金の劣化です。

 屋根には、たくさんの板金が使われています。いくつかご紹介しましょう。

  • 棟板金
  • 谷どい板金
  • 雨押え板金
  • 軒先板金
  • ケラバ板金
  • 天窓板金

 上述の板金は、雨が当たりやすい場所や水がたまりやすい場所にあります。つまり、劣化すると雨漏りにつながりやすいと言えます。

施工不良

 屋根の修理工事をしたのに、施工不良で雨漏りが発生する……のような残念な結果になることもあります。よく聞くのは、化粧スレート塗り替え後の「縁切り」ができていないケースです。

 通常、上のスレートと下のスレートの隙間は雨水を逃がすために開いています。塗料で隙間をふさいでしまうと、雨水が逃げられなくなります。

 塗装後は塗膜に切れ目を入れる「縁切り」をおこなうか、タスペーサーという部品で隙間を確保して塗るのが一般的です。それができていないと、雨漏りの原因になることもあります。

外壁の経年劣化

 雨漏りの原因は、屋根の不良だけではありません。外壁の不良も雨漏りを招きやすいので注意が必要です。

 たとえば、以下の症状を発見したら早急に点検することをおすすめします。

  • クラック(ひび割れ)
  • チョーキング(白化現象)
  • シーリング(コーキング)のヒビ割れ
  • 外壁材の反り
  • 金属サイディングのサビ

 チョーキングとは、塗料の劣化により外壁に触れると白い粉がつく現象のことです。シーリングは、サイディング同士の隙間を埋める充填剤のことです。

 どちらも聞きなれない専門用語ですが、雨漏りに直結する見逃せない「劣化のサイン」ですので覚えておくといいでしょう。

なお、定期的に屋根の点検やメンテナンスをしておくと、劣化のサインに早く気づけます。メンテナンスについてはこちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

» 【屋根メンテナンスの基礎知識】保守点検前に知っておいて欲しいこと

屋根の雨漏りを防ぐコツ

 最後に、屋根の雨漏りを防ぐコツをご紹介して終わりたいと思います。

 これから新築するのであれば、以下を避けることで雨漏りのリスクを下げられます。

  • 陸屋根(ろくやね)
  • 軒や庇の出がない屋根
  • トップライト(天窓)

 勾配がない平らな陸屋根軒や庇の出がない屋根はオシャレですが、雨漏りリスクが高くなります。近年は業界専門誌で度々指摘されるほど、深刻な問題になっています。

 採光に便利なトップライトも、雨漏りのリスクが高くなります。それをふまえたうえで、慎重に採用すべきでしょう。

 つづいて、先述した「板金・ルーフィング・屋根材」についても雨漏りを防ぐコツを載せておきます。新築やリフォームのときに、留意してください。

部材名

雨漏りを防ぐコツ

板金

高耐久の板金素材を使う(ステンレス>ガルバリウム≧銅>トタン)

ルーフィング

高耐久のルーフィングを使う

屋根材

定期点検や災害後の点検を実施して、塗膜が劣化して防水機能を失う前に塗り替える

 定期点検は、少なくとも10年に1度は実施しましょう。大型台風や大地震のあとも、屋根材の割れや抜けがないかチェックしておきたいところです。

【まとめ】修理前に知っておくべき屋根の雨漏りの予備知識

 雨漏りを発見したら、早急に点検と修理をおこないましょう。放置すればするほど悪化して、大きな費用をかけてリフォームせざるを得なくなります。

 雨漏りのサインは「軒裏や天井のシミ」がわかりやすいですが「屋根材の劣化」や「雨の日にブレーカーが落ちる」などの現象も疑ったほうがいいでしょう。

 修理は、信頼できる腕がいい職人に施工してもらいましょう。悪質な業者による施工不良で、雨漏りがひどくなるケースもあるようです。

 なお弊社は1978年創業で、経験豊富な一級建築士や職人が多数在籍しております。屋根の点検も承っておりますので、雨漏りのことでお悩みの方はお気軽にご相談ください。