こんにちは! エールハウス藤沢店、二級建築士・整理収納アドバイザー1級の笹川です。今回は【屋根リフォームの基礎知識】をお届けします。
屋根のメンテナンスやリフォームは、とっても大事なのですが忘れられがちです。屋根はよく見えないから、日ごろ目にする内装リフォームを優先してしまいますよね。
ですが、屋根は「家の傘」。紫外線や風雨から家を守ってくれているので、ないがしろにできません。雨漏りを発見するころには「カビの繁殖、木材の腐朽、シロアリ被害」の一歩手前かもしれません。
そこで今回は基礎知識として「屋根リフォームの種類、リフォーム時期の目安、費用相場、工期の目安」などについてご紹介しようと思います。
屋根リフォームに関心を持たれた方に覚えておいて欲しいことばかりの情報です。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
今すぐ屋根リフォームの相談をしたい方は、ぜひ弊社にお問い合わせください。弊社では、ドローンによる最新方法での無料屋根診断もおこなっております。
屋根リフォームの種類
さっそく、屋根リフォームの種類からご紹介します。屋根リフォームには、主に以下の4つの方法があります。
リフォームの種類 |
概要 |
塗装 |
塗膜が劣化した屋根材を塗り替える(スレート、ガルバリウム鋼板、セメント瓦など) |
差し替え |
破損した一部の屋根材を差し替える |
葺き替え |
屋根材全てを葺き替える |
重ね葺き(カバー工法) |
既存屋根を残したまま、上から新しい屋根材を葺く |
屋根リフォームは、屋根材の種類や劣化の程度から工事内容を選定します。
ちなみに、屋根材で屋根を覆うことを「葺く(ふく)」といいます。
屋根リフォームの「葺き替え」と「重ね葺き(カバー工法)」の違い
屋根材全部を取り替えたいときは「葺き替え」か「重ね葺き」をしますが、この2つはどう違うのでしょうか。
それぞれの特徴を比べてみましょう。
葺き替え
既存の屋根材をはがして新しいものに葺き替えるのが「葺き替え」です。
葺き替えは、重ね葺きに比べて以下のメリットがあります。
- 屋根の下地が劣化していないか確認できる
- 軽い屋根材に葺き替えることで、耐震性の向上が期待できる
瓦やスレートなど屋根材の下には「下地」と呼ばれる建材があります。葺き替え工事では一旦屋根材を全てはがすので、下地に劣化があれば補修できます。
重い瓦から軽い屋根材に変更することも、耐震性の向上に効果的です。屋根の軽量化は代表的な耐震改修のひとつです。
一方、葺き替えには以下のデメリットがあります。
- 既存屋根材の撤去費用や、下地の補修費用がかかる
- 工期が長くなる
メリットやデメリットをふまえると、葺き替えは以下に該当する方に向いていると言えます。
- 雨漏りが発生している
- 屋根材の劣化が激しい
- 瓦屋根
雨漏りしていたり屋根材の劣化が激しかったりする場合は、下地も老朽化していることが考えられます。一度屋根材をはがして、下地から点検・改修した方が良いでしょう。
なお、雨漏りに関してはこちらの記事でも解説しています。気になる方は、ご覧ください。
瓦は、そもそも重ね葺き(カバー工法)が難しい屋根材です。先述のとおり、耐震面から考えても軽い屋根材に変えるメリットは大きいでしょう。
なお、今はとても軽い瓦様の屋根材(ルーガなど)が出ています。和風建築で「耐震に関心あるけど、スレートは嫌だな」と思われている方も、葺き替えをご検討されてみてはいかがでしょうか。
重ね葺き(カバー工法)
つづいて「重ね葺き」の特徴をご紹介します。
重ね葺きは既存の屋根をそのまま残し、その上から新しい屋根を被せます。
重ね葺きのメリットは、以下のとおりです。
- 既存屋根の解体費用や撤去費用がかからない
- アスベストを飛散させない
重ね葺きのデメリットは、以下のとおりです。
- 屋根が重くなる
- 下地や防水シートの異常に気づきにくい
重ね葺きをする場合は、下地が劣化していないことが前提です。そのうえで以下の条件に当てはまる方は、重ね葺きが向いています。
- リフォーム費用を安く抑えたい
- 重量(耐震性)の不安がない
- 2004年以前に製造されたスレート屋根
ご注意いただきたいのは、アスベストを含んだスレートです。アスベスト建材は2004年に製造も使用も禁止されているので、それ以前に建った住宅は留意が必要です。
アスベストは空中に飛散しやすく、吸い込むと健康を害する恐れがあります。そのため、気安く解体できません。
アスベスト建材を撤去したい場合は、専門資格やノウハウを持った業者に依頼しましょう。
屋根のリフォームを放置してはいけない理由
屋根は下から見えにくいので劣化の程度がわかりづらく、つい放置してしまいがちです。しかし、屋根リフォームが遅れると、大変なことになります。
屋根は「家の傘」と言える部分です。屋根材が建物を雨から守っているのです。
屋根材の防水機能が働かなくなると、建物内部に雨水が侵入します。その結果、以下の症状が現れます。
- カビの繁殖(シックハウス症候群につながる)
- 木材の普腐朽(建物の寿命が縮む)
- シロアリ(大掛かりな修繕が必要になる)
室内で雨漏りを発見するころには、小屋裏(屋根裏)や壁の中はもっとひどいことになっているでしょう。
そうならないように、屋根は定期的なメンテナンスをおすすめします。
メンテナンスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。気になる方は、ご覧ください。
» 【屋根メンテナンスの基礎知識】保守点検前に知っておいて欲しいこと
屋根リフォーム時期の目安
屋根リフォームは、塗料や屋根材の耐用年数に合わせた時期に点検から始めましょう。
ではその「耐用年数」がどれぐらいなのか、目安をご紹介します。
塗り替え時期の目安
屋根材に使われる塗料の耐用年数は、主に塗料の種類(塗料に含まれる樹脂成分)によって変わります。
塗料の耐用年数を表にしてみましょう。
塗料の種類 |
耐用年数の目安 |
アクリル樹脂塗料 |
5~7年 |
ウレタン樹脂塗料 |
8~10年 |
シリコン樹脂塗料 |
10~15年 |
フッ素樹脂塗料 |
15~20年 |
どんな塗料で塗ったかわからないときは「10年」が目安とお考え下さい。一般的な住宅の屋根は、ウレタンかシリコンが多く使われています。
葺き替え時期の目安
屋根材そのものの劣化が進んでいる場合は、葺き替えになります。
屋根材の耐用年数も、ご紹介しましょう。
屋根材 |
耐用年数の目安 |
スレート |
10~35年 |
ガルバリウム鋼板 |
20~40年 |
瓦 |
30~50年 |
どの屋根材も、異常がないか10年周期で業者に点検してもらうといいでしょう。
屋根リフォームの工期の目安
つづいて、屋根リフォームの工期について解説します。
おおよその作業期間は、以下のとおりです。
作業内容 |
作業期間 |
雨漏り修理 |
2~3日間 |
塗装 |
2週間前後 |
重ね葺き(カバー工法) |
1週間前後 |
葺き替え |
2週間前後 |
屋根工事の工期は、天候や気温(塗装の場合)によって左右されます。
雨や雪、気温の影響を受けにくい時期は、屋根リフォームの繁忙期です。春と秋の屋根リフォームは予約が取りづらいので、早めに計画しましょう。
屋根リフォームの費用相場
屋根リフォームで特に気になるのが、工事代金の相場ではないでしょうか。
リフォーム費用の目安をご紹介しますので、参考にしてください。
塗り替え工事の相場
塗り替えする場合、塗装工事の前に高圧洗浄やケレンをおこないます。ケレンとは、洗浄で落としきれなかった汚れやサビを除去したり、塗料の付着性をよくしたりする作業のことです。
それぞれの費用相場は、以下のとおりです。
作業名 |
費用の目安 |
高圧洗浄 |
100~300円/㎡ |
ケレン(下地処理) |
500~2,000円/㎡ |
塗装の費用は、塗料の種類(樹脂の種類)でおおまかな目安がわかります。
塗料の種類 |
費用の目安 |
アクリル塗料 |
1,400~1,600円/㎡ |
ウレタン塗料 |
1,500~2,000円/㎡ |
シリコン塗料 |
2,000~3,000円/㎡ |
フッ素塗料 |
3,500~5,000円/㎡ |
塗料には防汚性や耐久性、デザイン性(石目調など)を高めたものがあり、ノーマルのものよりやや高くなります。塗装面の劣化状況も、塗装費用に影響します。
葺き替え工事の相場
葺き替え工事の目安は「屋根面積(㎡) × 1~2万円」です。瓦屋根やアスベスト対策は、高くなります。
まずは、屋根材による費用の違いからご紹介しましょう。
屋根材 |
費用の目安 |
瓦 |
8,000?15,000円/㎡ |
スレート |
5,000?7,000円/㎡ |
ガルバリウム鋼板 |
6,000?8,000円/㎡ |
その他、葺き替えにともなう工事の費用も表にしてみます。
工事名 |
費用の目安 |
既存屋根材の撤去費 |
10,000~20,000円/立米 |
下地補修費 |
2,000~3,500円/㎡ |
ルーフィング(防水シート) |
500~1,500円/㎡ |
アスベスト処理費 |
20,000~85,000円/㎡ |
葺き替えは、いろいろな条件で価格が変わります。いくつか、条件の例をあげてみましょう。
- 屋根の形状
- 屋根の広さ
- 既存屋根材の種類
- 足場の要・不要
上述の「費用の目安」は参考適度にみていただき、ご自宅の屋根なら葺き替えにいくらかかるのか、必ず見積もりを取ってください。
その他の屋根リフォームの相場
塗装・葺き替えの違いを問わず、屋根リフォームにかかってくる費用があります。
参考まで、いくつかご紹介しておきます。
工事名 |
費用の目安 |
足場費用 |
600~1,500円/㎡ |
雨どい修理 |
10,000~100,000円 |
漆喰補修(瓦) |
30,000~500,000円 |
雪止め設置 |
30,000~100,000円 |
2m以上の高所作業では、足場を組みます。
足場費用は安くないので、外壁塗装とセットでリフォームされる方が多いです。そうすることで、それぞれ別々の時期に足場を建ててリフォームするよりお得になります。
雨どいや漆喰、雪止めは必要に応じて取り換えや補修をおこないます。
屋根リフォームに関連するお金の話
最後に、屋根リフォームに関するお金の話を解説して終わりたいと思います。
リフォーム工事代金の支払い方法、ローン、屋根リフォームの補助金について順番に説明します。
支払い方法
リフォーム代金の支払いは、前払い方式を取る会社と分割払い方式を取る会社があります。
前払い方式は、その名のとおり全額工事前に支払う方式です。一方、分割払い方式は複数回に分けて支払います。
一例として、3回にわけて支払う場合は以下のような流れになります。
- 着工までに「着工金」支払い(工事代金の1/3)
- 工事の途中で「中間金」支払い(工事代金の1/3)
- 工事完了後に「残金」の清算(工事代金の1/3)
大掛かりな工事では、この3分割が一般的です。中規模であれば「着工金1/2、清算時1/2」というケースもあります。
小さな工事であれば「工事完了後の清算」のみ(後払い)で対応してくれる会社もあります。
リフォーム料金の支払いは工事規模や会社の方針で変わるので、契約前に確認しておきましょう。
ローンが使えるか
屋根リフォームは、ローンで支払うこともできます。お近くの金融機関にお問い合わせください。
屋根リフォームで使えるローンは、2つあります。ひとつはリフォームローン(使用用途がリフォームに限られるタイプ)で、もうひとつはフリーローン(何にでも使えるタイプ)です。
参考までに、いくつかリンクを貼っておきます。詳しくは、リンク先をご覧ください。
▼リフォームローン
▼フリーローン
なお、フリーローンのほうが金利が高くなります。
屋根リフォームの補助金制度
屋根リフォームは、補助金が使えるケースもあります。
補助金は主に国や自治体が実施していて、予算があります。実施していない時期や予算がなくなり終了していることもあるので、事前に調べておきましょう。
屋根のリフォームで使えそうな補助金の例をあげておきます。
補助金の種類 |
概要 |
リフォーム補助金 |
リフォーム全般に使える |
耐震リフォーム補助金 |
屋根の軽量化など耐震対策に使える |
省エネリフォーム補助金 |
断熱性を向上させるリフォームに使える |
アスベスト対策補助金 |
アスベスト含有建材の撤去に使える |
参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
【まとめ】屋根リフォームの基礎知識
屋根リフォームには「塗装、差し替え、重ね葺き、葺き替え」などの種類があります。どれも、大掛かりな工事で、費用や工期がかかります。
地上から見えないところの工事ですから、リフォーム業者との信頼関係が大切です。見積もりを取って、不明点はしっかり確認して、安心できる業者に任せましょう。
なお弊社は1978年創業で、経験豊富な1級建築士や職人が多数在籍しております。屋根リフォームも承っておりますので、屋根のことでお悩みの方はお気軽にご相談ください。