みなさん、こんにちは! エールハウス本店、FP(ファイナンシャルプランナー)の伊丹淳一です。
ところで、FP(ファイナンシャルプランナー)とは何か知っていますか?
正しくは、フィナンシャル・プランニング技能士と呼ばれ、国家検定のひとつで、1~3級まであります。 FPには年金や保険、資産運用、税制、住宅ローン、相続など、幅広い専門知識が求められます。そこで、「くらしとお金」に関する様々な専門知識を有していることを証明するのがFP資格です。詳しくは、日本FP協会のホームページをご覧下さい。

前回のブログでもご紹介したように、
住宅ローンを利用して中古住宅を購入し、自分好みにリフォームしたい
と考えるお客様が増えています。
今回は、住宅ローンの借入額を増やす方法の一つとして、夫婦や親子など複数人で借りる所得合算(連帯債務・連帯保証)ペアローンの仕組みとそれぞれの違いについてご説明します。
1.収入合算
住宅ローンは、借入希望者の年収や勤務先、勤続年数などを総合的に審査するため、希望通りの金額を自由に借りることはできません。そのため、理想的な物件に出会っても、借入希望者の単独での借入額では足りないことがあります。そんな時に役立つのが「収入合算」という借り方です。
収入合算には、
- 「連帯保証型」
- 「連帯債務型」
の2つの方法があります。
所得合算とは
連帯債務型 | 連帯保証型 | |
主な特徴 | 合算者も 連帯債務者 になり、主債務者と同等の責任を負う | 合算者は 連帯保証人 になるが、ローン契約者にはならない |
住宅ローン控除 | 主債務者・連帯債務者どちらも適用可 | 主債務者のみ適用 |
借入可能額 | 増やせる(収入をフル活用しやすい) | 増やせるが、金融機関の審査による |
責任の範囲 | 最初から 2人とも支払う義務あり | 返済が滞った場合のみ支払う義務が発生 |
※住宅ローン控除を活用したい場合は「連帯債務型」がおすすめです
所得合算のメリット
1. 夫婦や親子の 収入を合算することで、単独ローンよりも多く借りられる
例えば、夫の年収400万円・妻の年収200万円なら、単独ローンより 1.5倍程度の借入が可能となります。
2. 連帯債務型なら、夫婦2人とも住宅ローン控除を受けられる
3. 片方が育休・転職しても影響が少ない。例えば、妻が産休・育休に入っても、ローン契約自体には影響がありません(特に連帯保証型)
4. ペアローンにくらべると、契約手続きが比較的シンプルで手数料・契約が少なく、コストを抑えられる
所得合算のデメリット
1. 連帯保証型では、合算者は住宅ローン控除を受けられません。住宅ローン控除を最大限活用するには 「連帯債務型」 を選ぶ必要があります。
2. どちらかが支払えなくなっても、もう一方が全額支払う義務があります。
3.離婚時のローン整理が難しい(持分割合や返済分担の調整が必要)。
4.借り換えや売却が難しい場合がある
- 途中で 単独ローンに変更しようとしても、収入審査に通らないことがある
- 家を売却する場合、合算者の同意が必要になるため、手続きが煩雑
5.金融機関によっては対応していないことがあります。一部の銀行では連帯債務型の所得合算ができないため、事前に確認が必要です。
6.団体信用生命保険は、連帯保証の場合に団信加入できるのは主債務者のみで、連帯保証人は団信に加入できません。連帯債務については、夫婦連生団信といい、夫婦どちらかが主債務者・連帯債務者かにかかわらず、どちらかに万が一のことがあった場合にはローンの残債が保障される団信を扱っている金融機関もあります。
2.ペアローン
ペアローンとは
ペアローン とは、夫婦や親子など 2人がそれぞれ個別の住宅ローンを契約する方法 です。それぞれがローン契約を結び、互いのローンの「連帯保証人」となるのが特徴です。なお、住宅ローン控除はそれぞれ適用が可能です。
ペアローンのメリット
1. 住宅ローン控除を2人分適用できる
それぞれが住宅ローンを契約するため、住宅ローン控除を2人分フル活用できます。
2.夫婦それぞれが個別のローンを組むため、単独よりも大きな額を借入することが可能です。より高額な物件や希望する立地での購入が可能になるます。
3.片方は変動金利、もう片方は固定金利 など、異なるローン条件を選べるなど、それぞれのローン条件を自由に設定できる。
4.夫・妻それぞれが 団体信用生命保険(団信) に加入するため、片方が亡くなった場合、もう片方のローンは団信でゼロになります。連帯債務の場合、団信は主債務者にしか適用されないことが多いため、ペアローンの方がリスク管理に優れます。
5.どちらか一方だけ繰り上げ返済ができるなど、返済計画がたてやすい。
ペアローンのデメリット
1.諸手続き・諸費用が2倍になる。
たとえば、銀行事務手数料、保証料、印紙税、団信保険料などの費用は通常の2倍かかります。
2.お互いの「連帯保証人」になっているため、どちらかが支払い不能になると、もう一方がそのローンを全額負担する必要があります。そのため、夫婦のどちらかの収入が減少すると、家計が一気に圧迫される可能性があります。
3.ペアローンは「夫婦がそれぞれローン契約をしている」ため、離婚すると以下の問題が発生しやすい。
ケース1:どちらかが家に住み続ける場合
- もう一方のローンを引き継ぎたいが、単独では審査が通らない ケースが多い
- 「ペアローンの一方を借り換え・完済しようとしても、収入要件が満たせない」ことがある
ケース2:売却してローンを完済する場合
- 住宅の売却額がローン残高を下回ると、残債を夫婦で負担しなければならない
- 特に「夫が多く負担したのに、財産分与で折半」となると不公平感が出ることもある
4.住宅ローン控除の適用条件を満たさないと損する可能性があるため、住宅ローン控除を最大限活用するには、それぞれの持分割合を適切に設定する必要があります。
5.それぞれが独立したローンを持っているため、片方だけが先に繰り上げ返済をして完済した場合、もう一方のローンが残ります。例えば、妻が先に完済した場合は夫のローンだけが残るが、共有名義のままになります。
6.金融機関によっては、ペアローンが利用できない場合があります。