こんにちは!二級建築士の田渕です。建築の世界に入って、もうすぐ20年経ちます。今まで得た知識を活かして、これからお客様のお役に立つ情報をお届けいたしますので、よろしくお願いいたします!
先日、お客様からPCBを使用している照明器具が家にあるようなので見てほしいとのお話がありました。今回はそのPCBについてお話したいと思います。
PCBとは
PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた、 主に油状の化学物質です。PCBの特徴として、水に溶けにくく、沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されていましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。
PCB使用機器について
PCBが使用された代表的な電気機器等には、変圧器やコンデンサー、安定器があります。
PCBが含まれている変圧器やコンデンサーは、古い工場やビル等で使用されており、安定器は古い工場や学校等の蛍光灯等に使用されていました。なお、工場や学校などの施設に使用されていた蛍光灯が対象で、一般家庭の蛍光灯にPCBを使用したものはありません。PCBの毒性
脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。PCBが大きく取りあげられる契機となった事件として、1968年(昭和43年)に食用油の製造過程において熱媒体として使用されたPCBが混入し、健康被害を発生させたカネミ油症事件があります。カネミ油症は、昭和43年10月に、西日本を中心に、広域にわたって発生した、ライスオイル(米ぬか油)による食中毒事件です。症状は、吹出物、色素沈着、目やになどの皮膚症状のほか、全身倦怠感、しびれ感、食欲不振など多様です。
PCB廃棄物処理の経緯
PCBはその有用性から広範囲に使用されるも、その毒性が明らかになり1972年(昭和47年)に製造が中止になりました。それから約30年間に渡り民間主導で処理施設の立地が試みられましたが、地元住民の理解が得られず立地には至りませんでした。
保管の長期化により、紛失や漏洩による環境汚染の進行が懸念されたことから、それらの確実かつ適正な処理を推進するため、平成13年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB 特措法)が公布され、同年7月15日から施行されました。 微量PCB汚染廃電気機器等の量は、使用中を含めて、柱上トランス以外の電気機器が約120万台、柱上トランスが約146万台、OFケーブルが約 1,400kmと推計されています。
これらの経緯をふまえて、管轄自治体への状況に関する届出及び期限内の処分が義務づけられているそうです。
今回のお客様のご自宅では以前事務所をしていたこともあり、PCB廃棄物がないか行政から連絡が来たようです。処分には期限があり、処分しないと罰則があるようなので、ご自宅や会社にPCBを使用している照明がある場合は、早めの処分を進めてください。
PCBに関わらず、照明器具(ランプだけでなく、ランプ以外の照明器具の部品)には使用期限があります。使用年数が15年を過ぎると故障したり、火災の恐れもあります。安全のため、お使いの照明器具をチェックしてみることをおすすめします!