こんにちは、経理部の伊丹です。
前回のブログに引き続き、今回は『二世帯リノベーションと相続税』についてご紹介します。
1.二世帯住宅へのリノベーションで相続税が軽減される!?
相続税は2015年の税制改正により基礎控除が下がり、都市部など地価が高い地域に自宅がある場合には相続税が生ずる可能性が高くなりました。そこでこの改正時に、二世帯住宅に住む人に対しての相続税の緩和として「小規模宅地の特例」の改正を行いました。
小規模宅地の特例とは、居住用宅地等の相続では、評価額の80%が減額される制度です。「小規模宅地の特例」の詳細についてはここでは省略しますが、二世帯住宅の適用に係る制度緩和が行われたことにより、対象の範囲が広がりました。今回は二世帯住宅の場合の適用についてご説明します。
2.適用範囲の広がった小規模宅地の特例
改正前は、一棟の建物の中で行き来ができる場合には、建物全体が親の居住用となり、その土地を同居親族である子が相続で取得した場合は土地全体が小規模宅地等の減額の特例の適用を受けられました。
しかし、建物内を行き来できない構造の二世帯住宅の場合には、敷地の一部は親の居住用宅地として認められず、小規模宅地の特例の適用を受けられませんでした。そこで、改正により適用となる二世帯住宅の規模宅地の特例の適用対象が緩和され、従来から適用の対象であった玄関から内装設備までを全て二世帯で共有する「共有二世帯型」、玄関は一緒で、設備の一部を共有する「融合二世帯型」のみならず、建物内を行き来できない構造の、玄関から水廻りまで完全に別々に居住する「独立二世帯型」についても、特例の対象となりました。
3.特例を利用する際の注意点
二世帯住宅での小規模宅地の特例を利用する際には建物の登記の形態を区分所有登記にしないよう注意をする必要があります。
例えば、親と子で建築の資金を出す場合には、共有登記にするか、独立した部分ごとに区分所有登記をするかのどちらかになります。仮に親子で建築資金を半分ずつ出すとした場合、共有の場合には親と子で持分を1/2ずつとし、区分所有の場合には、親が住む1階を親の名義に、子が住む2階を子の名義にするという形態になると思いますが、区分所有登記の場合は親の居住部分に対応する敷地のみが小規模宅地特例の対象となり、更に配偶者以外の親族がその居住用宅地等を相続した場合は80%減額が受けられない可能性があるので注意が必要です。また、改正後では、区分所有登記の場合、仮に中で行き来が出来ても親の居住用部分のみしか特例の対象にならないため注意が必要です。
4.最後に
前回のブログでもお伝えしましたが、近年、近くにいるなどの安心感、土地代などのコストがかからない、育児や家事のサポートを受けられるといったメリットから二世帯住宅へのリノベーション需要が高まっております。もし、二世帯住宅へのリノベーションを検討されることがありましたら、将来の設計に、税金のことも頭にいれておくと良いと思います。小規模宅地の特例の適用は専門的な知識を必要とするため、必ず税理士にご相談下さい。エールハウスでは、相続税やライフプラン、銀行ローンなど提携している税理士や司法書士との連携が可能です。二世帯住宅へのリノベーションについて、税金も含めたより詳細な話をご希望される場合は事前にお気軽にお問い合わせください。