定期点検で長く住もう! ~長期優良住宅10年点検します~

皆様こんにちは。エールハウス藤沢店二級建築士の新井田です。

今回は長期優良住宅についてご紹介致します。

 

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは長期に渡りに良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅です。 長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。 新築についての認定制度は平成21年6月4日より、既存住宅を増築・改築する場合の認定制度は平成28年4月1日より開始しています。

【資料1】長期優良住宅概要

 

長期優良住宅の認定を受ける為には下記の長期優良住宅認定制度の基準を満たす必要があります。

 

  • 劣化対策 

数世代に渡り住宅の構造躯体が使用できること

  • 耐震性

極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること

  • 省エネルギー性

必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること

  • 維持管理、更新の容易性

構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・ 清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること

  • 居住環境

良好な景観の形成その他地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること

  • 住戸面積

良好な居住水準を確保する為に必要な規模を有すること

  • 維持保全計画

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること

  • 災害配慮

自然災害による被害発生の防止又は軽減に配慮されたものであること

 

長期優良住宅の認定を受ける為にはこれだけの条件を満たさなくてはなりません。

また、共同住宅の場合はさらに共用部のバリアフリー性や可変性として躯体高さの制限等の指定もあり、戸建てよりも条件が多くなっています。

 

下記表に詳しい内容が記載されています。

【資料2】認定基準表

 

長期優良住宅に住むメリット

長期優良住宅のメリットは税金控除や住宅ローンが低金利で受けられる、保険料減額や補助金の適用ができるなど様々なメリットがあります。

補助金の対象

長期優良住宅に認定されることで補助金制度の対象になる場合があります。

2023年現在で使用できるのは地域型住宅グリーン化事業で、長期優良住宅の場合ですと、建築費用の10分の1以内かつ最大140万円まで補助可能です。

また、こどもエコすまいなどの一般住宅でも条件を満たせば使用できる補助金ももちろん申請可能です。(併用できない場合あり)

  • 住宅ローン金利引き下げ

住宅ローンの金利引き下げをフラット35 Sの場合最初の5年間の金利が年0.5%、6年目~10年目は0.25%金利が引き下げられます。

また、ローン分割回数を50回にできるフラット50に加入することも可能です。

税金の特例措置

〇 所得税(2023年12月31日までに入居の場合)

長期優良住宅ですと控除対象借入限度額が3000万円のところ、5000万円まで対象となり、控除期間は13年間、年末借入金残高の控除率0.7%分の最大で455万円分所得税から控除されます。

また、上記とは併用できませんが、標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%をその年の所得税から控除できる制度もあります。

 

〇 登録免許税(2024年3月31日までに新築された場合)

登録免許税とは不動産を登記する際に総務局に支払う税金で、固定資産税評価額に税率を乗じます。

この税率が、一般の保存登記の場合0.15%→0.1%になります。

また、移転登記の場合0.3%→0.2%となります。

 

〇 不動産所得税(2024年3月31日までに新築された場合)

不動産所得税は課税標準の控除額が1200万円から1300万円に増額となります。

 

〇 固定資産税(2024年3月31日までに新築された場合) 

固定資産税も減税期間(1/2減額)が、通常1~3年間のところ長期優良住宅の場合1~5年間に延長されます。

 

  • 地震保険料の割引

長期優良住宅の場合、品確法に基づく耐震等級を有する建物である場合、保険料の割引が適用されます。

耐震等級割引

〇 耐震等級2 : 30%

〇 耐震等級3 : 20%

 

また、建物が品確法に基づく免振構造である場合、免振建築物割引として50%減額されます。

【資料3】メリット

長期優良住宅と認定を受けることで様々なメリットがありますが、ほかにも売却時に付加価値として長期優良住宅であることをアピールすることもできます。

 

しかしながら長期優良住宅として認定を受ける為の制約も存在します。

 

  • 長期優良住宅のデメリット、義務など

・ 費用面

デメリットとして、長期優良住宅に認定される為には申請などが多く、さらには建物の仕様も高額になりがちですのでメリットで上げたように減税等の処置はありますが、申請費用や設計、工事費が通常よりかかる場合があります。

また、工事と並行して申請もおこなう為工事期間が長くなる場合もあります。

  • 定期点検

長期優良住宅は申請する際に維持保全計画書という書類を作成し、保管する必要があります。

これは建物を長く住めるよう定期的に点検や修繕を行う為の目安として作成し、10年に一回建物の点検及び修繕の必要な箇所の工事を行い、その記録をし、その記録を保管する義務があります。

 

上記を30年以上にわたり10年周期で点検を行う必要があります。

また、台風や地震などの天災があった場合には必要に応じて点検を行い、修繕必要箇所のメンテナンスが必要となります。

【資料4】維持保全計画について

【資料5】維持保全計画書サンプル

 

最後に長期優良住宅も申請内容や対象等内容が改正されることがあります。

昨年10月にも改正されました。

【資料6】R4改正内容

 

次回は長期優良住宅の定期点検を実際に行いましたのでご紹介させて頂きます。

※【資料1~4、6】長期優良住宅認定概要について(新築版)パンフレット青 参照

※【資料5】長期優良住宅 東京都住宅対策本部HPより

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