【一級建築士 吉田の外構シリーズ】『アコヤ』を枕木に使っての外構工事

みなさん、こんにちは。エールハウス藤沢店店長、一級建築士の吉田です。

 前回に引き続き『外構シリーズ2』としまして、今回は非常に珍しい「アコヤ」という木材を使って枕木を設置した様子をご紹介いたします。

 

 当初の枕木の計画では、「ユーカリ」の枕木を仕様する予定でしたが、今まで取り扱いしていたメーカーが輸入を中止しておりました。以前使用した事もあり、価格も手ごろで使いよかったのですが、在庫も無いとの事で残念ですが断念し、水車の材料にも使われていると聞いたことがあった「アコヤ」に注目いたしました。

 

「アコヤ」枕木にしようと決めた理由

  • 屋外に設置しても問題なく耐久性がある
  • エコロジーな素材
  • サイズの問題
  • 見た目の質感

 

 この「アコヤ」とは、ラジアタパインと呼ばれるニュージーランド産の松(パイン材)をアセチル化した高耐久化天然木材とのことです。製造しているメーカーの記載では、地上で50年、地中・淡水中で25年の対腐朽耐用年数をメーカー保証しています。

メーカーが保証する、50年も腐らない木というのは、すごい性能ですね。

 

アコヤの生い立ち

 このアセチル化木材の歴史は古く1946年に製品化が始まったとの事です。ですから、この「アコヤ」の対腐朽菌性能寸法安定性能は、数十年におよぶ検証研究から実証されています。

 「アコヤ」は、オランダのアクシステクノロジーズのアセチル化木材工場で開発・生産されています。


 オランダという国は水路網が多岐に発達しており、おのずと防腐処理木材が多用されていました。しかし、従来の銅などの金属物質が含まれる防腐剤は、人体に直接影響がないとされながらも、長年の使用により、地中や水中で生きる微生物へ蓄積し、将来的な生態系への悪影響が懸念されました。

 そして、環境問題への関心が深まる1990年代に、防腐処理木材に代わる、環境と人にやさしく、水質を害さない防腐木材の研究開発が急務となりました。

 そうした流れの中で、オランダSHR森林総合研究所を中心に、アセチル化木材の量産化実現へ向け研究開発が発展したことが、アクシステクノロジーズのアコヤ生産工場がオランダで誕生した所以です。


 アセチル化木材の量産化は世界唯一オランダで成功しており、アセチル化木材「アコヤ」を世界に向けて輸出しています。

 こうした背景で、比較的価格を抑えられた50年も耐久性のある木材が手に入りやすくなりました。

 

アコヤのしくみ

 「アコヤ」には防腐剤や重金属、合成樹脂など、もともと木材の中には存在しない物質は含まれてはいません。

 アセチル化とは、食酢の成分でもある酢酸の一種「無水酢酸」を、高温で木材と反応させる化学変化で、アセチル化により、細胞組織内に水を呼び込む水酸基の数が減少し、代わりに水と融合しないアセチル基の数が増加すると、木材は半恒久的に水分をわずかしか受け付けない性質へと変化します。そのため、納入された「アコヤ」はお酢の匂いがしていました。

アセチル化(池上産業株式会社HPより)

 アセチル化の結果、腐朽菌やシロアリが食源として有効活用できない状態となり、耐腐朽菌性能が飛躍的に高まる他、木材の含水率変動が抑えられることで、優れた寸法安定性能も加わるという仕組みです。

屋外防蟻性能試験(池上産業株式会社HPより)

「アコヤ」は森林での生育期間の数倍の屋外耐用年数と、優れた寸法安定性に加え、安全性も付加された新しい機能性木材です。

 

今回の現場

 枕木に使用したサイズは厚さ75ミリ、幅150ミリの断面のラフ材を使いました。製材されて、仕上げ加工のしていない材料を地面より1.6メートル表して設置しています。

 

 この「アコヤ」は、加工するときれいなやさしい質感と自然の風合いが楽しめる木材です。

 耐久性能の高いウリンやイペなどの熱帯雨林材と異なり、柔らかいので加工も作業性も良いので、今後色々なシーンに使える面白い材料だなと感じました。

アコヤ加工例(池上産業株式会社HPより)

 

 日本の建築物では、鈴鹿パーキングや京王電鉄の高尾山口駅、高輪ゲートウェイ駅などにも使用されているようです。

鈴鹿パーキング(中日本高速道路株式会社HPより)

高尾山口駅(池上産業株式会社HPより)

高輪ゲートウェイ駅(池上産業株式会社HPより)

 また、この「アコヤ」はほかの木材と同じように自由に塗装が出来るうえに、優れた寸法安定性があるため、塗装の寿命を延ばすことが可能ということです。

塗装の寿命を延ばします(池上産業株式会社HPより)

 

 今回は、キシラデコールのオリーブ色で塗装することにいたしました。

塗装前

塗装後

 

 そして、目隠しとデザインで張った横板とも同色で塗装仕上げをしました。

アコヤの枕木とサイプレイスの横木

 

 ちなみに、横板で使用した木材は、「アコヤ」ではなく比較的耐用年数のある「サイプレス」という、豪州ヒノキを使用しています。

 「サイプレス」とは「永遠に生きる」と言う意味の古代からの神木らしいです。この材料はウッドデッキによく用いられているオーストラリア産のヒノキ科の材料です。

 今回のアコヤは枕木に使用いたしました。

 50年の耐用年数は、少しオーバークオリティかなと思いましたが、次回もまた違う場面で設計に取り入れたいと思える材料でした。

外構工事完成

 

 前回と今回のブログでご紹介した外構完成写真です。緑が入るとより素敵ですね。今後もお客様の理想の住まい創りのお手伝いをしてまいります。

 

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