こんにちは!経理部の伊丹淳一です。
今回から、「知って得する住宅に係る減税制度」をお伝えしてきます。第1回目は住宅ローン控除の概要について紹介します。どれも、知っておいて損はない知識ですので、是非活用下さい。
第1回【住宅ローン控除の概要】
1.住宅ローン控除とは?
個人が住宅を新築または中古住宅の購入、現在住んでいる住宅の増改築をした際に、返済期間10年以上の融資を金融機関から受けて住宅の取得等をした場合に所定の手続きをとれば、自分がその住むことになった年から一定期間にわたり、居住の用に供した年に応じて、所定の額が所得税から控除されます。なお、この控除は、住宅とともに取得される敷地についても適用されます(詳しくは、6.へ)。
2.適用が受けられる住宅の要件
この制度の適用が受けられる住宅については、下記一覧に掲げる要件があります。
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要 件 |
新築住宅 |
①住宅を新築、または新築住宅を取得し、2009年1月1日から2021年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。 ②工事完了の日または取得の日から6ヶ月いないに自己の居住の用に供すること。 ③床面積が50㎡以上であること。 ④居住用と居住用以外の部分(例:店舗など)があるときは、床面積の2分の1以上が居住用であること(この場合には、居住用の部分のみが控除の対象) |
中古住宅 |
①中古住宅を取得し、2009年1月1日から2021年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。 ②新築の場合の②~④と同様 ③次のイ・ロのいずれかに該当すること イ.建築されてから20年(耐火建築物の場合は25年)以内の家屋であること ロ.築後年数にかかわらず新耐震基準に適合することが証明されたもの又は、既存 住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの(その家屋の取得の日前2年以 内に保険契約の締結をしたものに限る) |
増改築等 |
①自ら所有し、居住している家屋で2009年1月1日から2021年12月31日までに増改築等を行ない、同日までに入居すること。 ②工事費用(補助金の交付を受ける場合には、その補助金の金額を控除した金額)が100万円を超えるものであること。 ③工事を行なった家屋が居住用と居住用以外の部分があるときは、居住用部分の工事費用が全部の工事費用の2分の1以上であること。 ④増改築等を行なった後の住宅の床面積が50㎡以上であること。 ⑤増改築等を行なった後の住宅の床面積の2分の1以上が居住用であること。 ⑥増改築等の日から6ヶ月以内に事故の居住の用に供すること。 |
3.要件にある増改築ってどのような工事が該当するの?
住宅ローン控除の適用が受けられる「増改築等」とは、原則として以下のものが挙げられます。
①戸建て住宅の場合には、増築、改築、大規模な修繕・模様替え
②マンションの場合にあっては、その専有部分である床、間仕切壁、外壁の室内面または階段の一以上について行われる過半の修繕、模様替
③マンションを含む家屋の一室の床または壁の全部について行われる修繕・模様替
④地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の修繕又は模様替(例:筋かいの設置、合板による壁の補強、土台と柱の接合部の補強、基礎の補強等の耐震改修工事など)
⑤一定のバリアフリー改修工事
⑥一定の省エネ改修工事
⑦多世帯同居改修工事
4.控除が受けられないケースもあるので注意!
2.の要件を満たす場合であっても、次の場合には住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
①その年分の合計所得金額が3000万円を超える場合(各年ごとに判定)
②入居した年のほか、その年の前年又は前々年あるいはその年の翌年または翌々年に居住用財産を譲渡して、次のような特例を受ける場合
イ.居住用財産の3000万円特別控除
ロ.所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
ハ.居住用財産の買換えの特例 など
③中古住宅の取得の場合において、その取得が配偶者や親族等の特殊関係者(その取得時から引き続き生計を一にする者に限られます)から行われるとき
5.控除される金額
控除される金額は、次の算式によって計算されます。
(算式) 年末借入金残高×控除率=ローン控除額
区分 |
控除対象借入限度額 |
控除率 |
控除期間 |
所得税の 最大控除額 |
住民税の控除限度額 (注1) |
消費税8%又は10% |
4000万円 |
1.0% |
10年間 |
400万円 |
所得税の課税総所得金額等の合計額×7% (最高年136、500円) |
上記以外の場合 (注2) |
2000万円 |
1.0% |
10年間 |
200万円 |
所得税の課税総所得金額等の合計額×5% (最高年97,500円) |
(注1)所得税から控除しきれない場合に翌年の住民税から控除されます
(注2)個人間の既存住宅の売買等の場合
(注3)控除対象借入限度額の()内の金額は、認定住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅)の場合の金額です
6.住宅を建てる前に土地を買った場合
住宅ローン控除は住宅とともに取得するその敷地に係る借入金についても控除の対象とされています。土地付きの建物やマンションの購入などのように土地と建物を同時に買う場合には特に問題ありませんが、問題は土地を先に買ってその後にその土地に住宅を建てる場合のその土地に係る借入金についてです。このような場合においても、その買った土地が次に該当するものであれば、その土地に係る借入金についても住宅ローン控除の対象となります。
①宅地建物取引業者から購入した建築条件付きの土地である場合
②住宅新築の日前2年以内に購入されたものである場合(債権担保のためその住宅を目的とする抵当権が設定されるとき等に限ります)等のとき
7.控除を受けるための手続き
住宅ローン控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額の計算明細のほか、次に掲げる書類を確定申告書に添付して税務署に提出しなければなりません。
区分 |
添付書類 |
新築住宅 |
①建物やその土地の登記事項証明書、新築工事の請負契約書、売買契約書の写し ②住民票の写し ③金融機関等の借入先から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」 |
中古住宅 |
①売買契約書、債務の承継に関する契約書の写し ②新築住宅の場合の①の建物やその敷地の登記事項証明書及び②・③の書類 ③築後年数要件に該当しない場合は耐震基準適合証明書等 |
増改築等の場合 |
①増改築後の建物の登記事項証明書 ②増改築等に係る工事の請負契約書の写し ③新築住宅の場合の②・③の書類 |
※サラリーマンの場合、2年目以降は年末調整の段階で住宅ローン控除の適用を受けることが出来ます。
8.最後に
住宅の新築、中古住宅の購入や住んでいる住宅の増改築等をする場合には、とても大きな買い物になると思います。家づくりに関する優遇税制を利用して、家計の負担を少しでも減らしましょう。 次回は、知って得する住宅に係る減税制度を利用しよう②!(住宅ローン控除特例)です。
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