皆様、こんにちは。エールハウス藤沢店スタジオ、二級建築士の新井田です。
今回は基礎の補強についてご紹介いたします。
コンクリートは強度や施工性の良さから、基礎・土間・RC構造(建物の主要構造部として)など建築物の様々なところで使用されています。まずはコンクリートについて簡単にご紹介致します。
コンクリートとは?
- コンクリート・・・セメントを原料とし、セメントに砂・粗骨材(砂利)・水を混ぜ合せることにより作られます。
- モルタル ・・・ セメントに砂・水を混ぜ合わせ作られます。
※コンクリートとモルタルは混同しやすいものですが、それぞれに違いがあります。
モルタルに比べ砂利が加えられているコンクリートの方が強度はありますが、モルタルの方が柔軟性に優れています。
コンクリートの特質
コンクリートの芯に鉄筋を配することで、コンクリートのみよりも強度や耐久性を向上することができます。
コンクリートは圧縮される力には強い性質がありますが、引っ張られる力に弱い性質を持っています。
逆に鉄筋は圧縮される力には弱いですが、引っ張られる力には強くコンクリートとは真逆の性質を持っています。
そこでコンクリートに鉄筋を入れることにより、性質の弱い部分を補いあいコンクリートの強度向上が可能となります。
強アルカリ性であるコンクリートの内部の鉄筋は不働態(金属表面の腐食に抵抗する酸化被膜が生じている状態)となり、鉄筋の腐食を防いでいます。
1981年以降の建物の基礎は鉄筋を入れることが義務付けられておりますが、それ以前の建物では無筋コンクリートの場合もあります。耐用年数は30年~65年とかなりの長期間の耐用年数を誇るコンクリートですが、年数が経つにつれ雨風や地震などの自然災害、経年劣化等により劣化は進んでしまいます。
そこで次はコンクリートの劣化が進むとどうなるのか、その補修方法など詳しくご紹介致します。
コンクリートの劣化について
コンクリートはひび割れを起こすほかに『爆裂』と呼ばれる現象が発生する場合があります。ひび割れや爆裂などの劣化には様々な原因が引き金となり発生致します。
・爆裂
爆裂とは鉄筋コンクリートで発生する現象です。ひび割れから雨水等が侵入した場合に コンクリート内部の鉄筋が錆びてしまい、その錆により鉄筋の体積が膨張し鉄筋周囲のコンクリートを押し出すことで内部からコンクリートが浮き上がり、表面剥離につながる現象をいいます。
また鉄筋が錆びてしまう原因としてコンクリートの中性化という現象による錆が発生してしまう場合もあります。
・コンクリートの中性化
コンクリートの生成時は強アルカリ性ですが、空気中の二酸化炭素がコンクリートに接触すると、水酸化カルシウムと化学反応を起こし、炭酸カルシウムと水へ変化し、中性化を起こしてしまいます。
Ca(OH)₂ + CO₂ = CaCO₃ + H₂O
(水酸化カルシウム) (二酸化炭素) (炭酸カルシウム) (水)
上記の化学式の反応が発生してしまう事で、普段は強アルカリ性の作用で不働態となっている鉄筋が錆びてしまい爆裂やひび割れなどを起こしてしまいます。
コンクリートは中性化が進んでしまうと強度がどんどん落ちてしまいます。そうなると補強などが必要となっていきます。
中性化試験で中性化が起きているか検査することもできますので、気になる方は一度試験をされるのも良いかと思います。
基礎の補強方法
基礎の補強にはいくつか種類がありますので順にご説明致します。
Uカットシール工法
- Uカットシール工法は中性化前の基礎のクラックの充填で有効です。
- クラック部にU型に大きく切れ込みを入れエポキシ樹脂などを充填しクラックを埋めます。
基礎増し打ち工法
基礎増し打ちは、リノベーション工事などで行う場合が多く既存の基礎に抱合わせて新しく基礎を打つ工法です。
既存の基礎と新しい基礎を鉄筋により結合させます。
アラミド繊維補強
- パテ処理
- アラミド繊維補強はクラックや無筋基礎の補強さらには中性化対策として有効な補強方法で、鉄の5倍の引張強度を誇る繊維をエポキシ樹脂と呼ばれる樹脂で接着固定し、補強をする工事です。
実際の工事事例をご紹介
今回、藤沢市のお客様宅でアラミド繊維による補強工事をしました。
基礎は風窓部分にクラックが数か所発生してしまっている為、補強いたしました。
工事手順
1・現場養生
床下に潜り作業を行いますが、出入りが多い為、廊下などを汚さないため養生をしっかり行います。
2・根堀
基礎の下部は土壌に埋設されている為、土壌に埋設される箇所にもしっかり補強を行う為、土壌の掘り起こし作業を行います。
3・クラック補修
繊維補強をする前にエポキシ樹脂を注入しくクラック補修をします。
4・下塗り
コンクリート内部に浸透し内部から強化させるための溶剤と、補強材とコンクリートの密着をよくするプライマーとしての目的もあります。
5・パテ処理
パテ材による不陸調整、平滑化をします。
6・補強材下塗り
コンクリートの補強と保護を目的として塗ります。アラミド繊維を張り込む前に下塗りを行います。
7・アラミド繊維張り
アラミド繊維を張り付けていき、脱泡ローラーで空気を抜く事と含侵処理をすることで密着度を上げます。
8・補強材上塗り
最後に繊維の保護を兼ね、補強材を上塗りし、完成となります。
上記の工程により補強をします。
アラミド繊維は紫外線に弱い為床下側からの施工をしますので今回は床下からの補強になります。外側から施工することもできますが、上塗り材でさらに保護する必要があります。
また、アラミド繊維補強は陸橋などの柱補強として使用されるほど補強に関しての信頼も高いことがうかがえます。
表を見ると無筋の基礎に補強をかけることで有筋の無補強基礎よりも剛性を高めることも可能です。
いかがでしたか?基礎補強により安心な基礎にしましょう♪
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