皆様こんにちは。エールハウス藤沢店二級建築士の新井田です。
今回は腐食してグラグラになってしまったウッドデッキの補強工事事例をご紹介致します。
工事にあたって
今回は鎌倉市にお住まいのお客様よりこんなご依頼をお受けいたしました。
- 自宅のウッドデッキが腐食してグラグラになってしまったので直してほしい。
- 床材も所どころ腐食して今にも抜けそうで怖い。
実際の現地を確認させて頂いた所、木材で構成された二階のベランダへ続く、デッキの土台と筋交いが腐食してしまったことで、グラグラしてしまっていることがわかりました。
また、ベランダの床材も長年の劣化で一部腐食しており、踏むと抜けてしまうのではないかという状態でした。
お客様のご要望
今回の状態だと費用は掛かりますが、造り変えた方が今後長くお住まい頂くのには最適です。
ですが、こちらのお客様は7~8年ほどでお引越しされるご計画とのことでした。
費用をかけて10年以上持つように新しくするよりも、既存を補強し住まわれる年数を補強して持たせる方がお客様にとってもご負担が少なくて済むため、今回は補強という選択を取らせて頂きました。
もっと長くお住まい頂くのであれば、費用をかけても今お使い頂いているウッドデッキを取り壊し、新しく造作することをお勧め致します。ですが、今回のお客様のようにお引越しのご計画がある場合には補強工事にとどめておくことも一つの方法です。
せっかく費用をかけ、今後住まわれる期間よりもずっと長い耐用年数のウッドデッキを作っても無駄になってしまいますので、エールハウスではお客様に一番合った工事内容をご提案できるよう日々努めさせて頂いております。
少し話が脱線しましたが、今回は悪い部分を直していくことで工事を進めさせて頂く事になりました。
工事のご提案
- まずは筋交いと土台が腐食して、構造体として機能しなくなってしまっている筋交いを直していきます。
- 腐食してしまっている床材も交換していきます。
- 交換箇所と既存の風合いを統一するのと、木材自体の保護の為、補強後塗装も一緒に行います。
今回のお客様宅の既存のウッドデッキは、セランガンバツやイペ材のようなハードウッドではなく2×6材(海外のインチ規格の木材で2×4構造で使用される材木と同じ輸入木材)で造作されていました。
【ツーバイ材とは?】
工事の前に簡単にツーバイ材についてご説明致します。
ツーバイ材とはアメリカ発祥の2×4工法に使用される主要製材の総称で断面厚みが2イン(38mm)規格で生成された木材です。長さもフィートになっております。
また、SPF材と呼ばれることもあり、SPFの略は北米産の針葉樹であるスプルース(トウヒ)・パイン(マツ)・ファー(もみの木)の略でツーバイ材はSPF材で生成されています。
基本的にツーバイ材は室内の構造材として使用されている為、屋外で使用する材料ではありませんが、今回は屋外に使用する為、タナリスという防腐処理がされている2×6材を使用します。
【タナリス加圧注入材について】
タナリス加圧注入材とはタナリスCYという処理剤を木材に浸透させることで防腐・防蟻効果がある薬剤です。タナリスCYは銅化合物質のシプロコナゾールという有機物の抗菌剤を主成分としており土台や柱にも使用されております。もちろん低毒性であるため、人が直接触れる遊具や木柵に使用しても問題ありません。
また加圧注入とはタンクに木材を入れ、高い圧力をかけながらタナリスなどの防腐薬剤を木材内部に深く浸透させる処理方法です。
このタナリスを加圧した木材は10年以上屋外に放置しても腐らないという実験結果があるほど信頼できる防腐性能があります。
今回は屋外での使用とのことで、タナリス加圧注入処理を施した2×6材を使用し補強工事を行いました。もちろん土台も防腐材を加圧注入した土台を使用します。
工事スタート!
まずは解体して土台の入れ替えをおこないます。その後筋交いを取り付けし、金物で補強していきます。
今まで土台と筋交いの接合部が腐って機能しておりませんでしたが、交換したことによって上部の床をしっかり支えグラつかなくすることができました。
今度は上部の床材の貼り替えを行っていきますが、床を剥がしてみたところ、根太材も腐ってしまっていました。
急遽根太も補強し、無事補強工事が完了しました。
最後にウレタン系の塗料で塗装をし、完成となります。
今回は浸透型の塗料ではなく造膜型の塗料の為、既存と新しく補強した個所の色の差もなくきれいに仕上がりました。
お客様にも喜んでいただけて良かったです。
エールハウスでは、建築士、インテリアコーディネーター、また整理収納アドバイザー1級、住宅収納スペシャリスト等の住まいに関わる資格を持った女性スタッフがおります。横浜・藤沢・湘南エリアでリフォーム・リノベーション・新築をお考えの際は、お気軽にエールハウスまでご相談下さい!