【台風前に屋根の点検を!】屋根材が飛ぶ原因と対策、被災時の対処方法

こんにちは! エールハウス横浜店、二級建築士・整理収納アドバイザー1級の笹川です。

今回は、今年の台風に備えて『屋根の点検&対策について』と『もし被災した場合の対処方法などについて』お伝えさせていただきます。

 近年、台風の大型化や台風シーズンの長期化で被害にあわれる家が増えています。皆様のご自宅は大丈夫だったでしょうか?

 今年も台風シーズンが近づいてきましたので、屋根材が飛ぶ原因と対策、対処方法などをご紹介したいと思います。

 とくに海岸部にお住まいの方や、風が強い地域にお住まいの方に読んでいただきたい内容です。被害を最小限に抑えるために、ぜひご覧ください。

 すぐに台風対策の相談をしたい方は、お気軽にお問い合わせください。

台風の大型化により屋根の被害が拡大

 近年、台風の大型化や上陸時期の長期化で、被害を受ける家屋が増えています。

 たとえば平成30年8月28日に発生した「平成30年 台風第21号」は、25年ぶりに「非常に強い」勢力で日本に上陸し、近畿地方を中心に甚大な被害を与えました。

 この台風では、瓦屋根や軒下材が吹き飛ばされ風下の家の屋根に衝突し、衝撃を受けた屋根も吹き飛ばされ被害が連鎖的に拡大しました。

 台風後は、多数の被災家屋が発生して修繕工事が集中しました。「業者がなかなか来てくれない、職人や材料が手配できない、修繕が進まない」など、困った方も多かったと思います。

 昨今の台風は、これまでと同じ感覚では危ないのです。今一度、屋根や外壁を点検して、時代に合った対策を取る必要が出てきました。

 あなたのご自宅は今の台風に耐えられるのか、今一度点検してみてください。

台風で屋根材が飛ぶ原因と台風前後に取るべき対策

 先述のとおり、飛散させた屋根材が近隣の家に当たったら連鎖的に被害を拡大させてしまいます。万が一、人に当たったらとんでもないことになります。

 台風シーズンに入る前に、暴風雨に耐えられるか確認しておきましょう。

 これから、台風で屋根材が飛ぶ原因と対策をご紹介します。原因になる箇所を対策すれば被害にあいにくくなるので、しっかりチェックしておきましょう。

 なお、屋根のチェックは点検中の落下事故や問題点を見逃す恐れがあるので、自分(DIY)でやらずプロに依頼されることをおすすめします。

屋根材

 屋根材は、以下の症状があると強風で飛散しやすくなります。問題がないか、台風前にしっかり確認しておきましょう。

  • 割れている
  • ズレている
  • 浮いている
  • 棟(屋根の最も高いところ)がゆがんでいる

 とくに、古い家屋の瓦は要注意です。瓦をビス止めする「ガイドライン工法」が推奨され始めたのは平成13年以降で、それ以前に施工された瓦は桟木に引っかけてあるだけのものもあります。

 瓦屋根の棟付近に使われる漆喰も、はがれやヒビ割れがないか見てもらいましょう。漆喰の中の葺き土(ふきつち)が流出すると、棟瓦が崩れる原因になります。

 ちなみに、海岸沿いなど風が強い地域では2019年の台風15号の際に最新工法の防災瓦でも飛散しています。屋根の工事は、地域の特性を熟知した建築会社に最適な屋根材と工法で施工してもらうことが大切です。

板金

 屋根には、多くの板金が使われています。台風で飛ばされやすいもののひとつですので、浮きや釘のゆるみがないかチェックしておきましょう。

 以下は、屋根で使われている板金の例です。想像以上に多いので、見逃しがないようプロにしっかり確認してもらいましょう。

  • 棟板金
  • 谷どい板金
  • 雨押え板金
  • 軒先板金
  • ケラバ板金
  • 天窓板金

 板金の下地(木材)が劣化して釘の保持力が弱くなっていると、板金がめくれて飛んだり落下したりしやすくなります。下地もあわせて確認してもらいましょう。

 飛ばなくても、ゆるんだ釘から雨水が侵入すると下地の劣化や雨漏りの原因になります。

雨どい

 台風は大雨をともなうので、雨どいも要注意です。台風で雨どいが壊れる原因は以下のとおりです。しっかりチェックしておきましょう。

  • 屋根の横どいが詰まっている
  • 横どいや縦どいが曲がっている
  • 屋根や外壁から浮いている
  • 外壁に固定するためのビスがゆるんでいる

 コケや落葉で詰まっている雨どいが、結構あります。屋根の雨どいから雨水があふれると家の外側をつたって水が流れ落ち、外壁の劣化を早めてしまいます。

 雨どいも、しっかり点検してもらいましょう。

外壁や窓

 台風では、横なぐりの雨が外壁に打ち付けます。クラック(ヒビ割れ)やシーリング(外壁材どうしの隙間を埋める充填剤)のヒビ割れがないか確認しておきましょう。

 なお、ヘアクラック(髪の毛程度の細さ)程度は問題ありません。

 風上の窓が割れると、家の風下側に大きな引っぱり力が発生します。野地板(屋根下地)ごと飛ばされることがあるので、要注意です。

 2019年の千葉海岸部の台風被害を受け、風が強い地域では「沖縄仕様の耐風圧性能サッシが必要」と言われ始めています。

 リフォーム用耐風仕様の窓シャッターも注目され始めていますので、海岸部にお住まいの方はこの機会に「窓のリフォーム」をされてみてはいかがでしょうか。

ベランダやカーポート屋根

 ベランダやカーポートで使われているポリカーボネートの屋根も、台風で飛ばされることがあります。原因(チェックポイント)は以下のとおりです。

  • 経年劣化で硬化している
  • 湾曲部分に細かいヒビ割れがある
  • ビスのゆるみ
  • 屋根材の浮きや反り

 紫外線で硬化したポリカーボネートは、割れやすくなっています。強風で負荷がかかると割れて飛んでいくことがありますので、設置業者か建築会社に点検してもらいましょう。

台風後も、次の台風に備えてチェック

 台風が過ぎ去ったら「飛散した屋根材がないか、雨漏りがないか」確認しましょう。問題が見つかったら、次の台風に備えてすぐに対策を打つことをおすすめします。

 メンテナンスを怠ると、損害賠償請求に発展することもあります。台風前に「民法717条」の規定を確認しておくとよいでしょう。

 たとえば、屋根瓦が強風に飛ばされお隣さん宅に衝突した場合は「民法717条」によると以下のような判断になります。

  • ちゃんと安全性を確保していたのに、想定を越える暴風で瓦が飛んだ場合は責任を負わない
  • 不良個所を補修せずそのまま放置していた場合は、建物の所有者は損害賠償責任を負う

 冒頭に申し上げたとおり、台風後はメンテナンスや修理が混みあいます。可能な限り早急に点検を依頼してください。

 なお、メンテナンスについては以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ、本記事とあわせてご覧ください。

» 【屋根メンテナンスの基礎知識】保守点検前に知っておいて欲しいこと

万が一台風で屋根や外壁が壊れたら

 さて、万が一台風で被災したら、どうすればいいのでしょうか。

 台風で屋根や外壁に問題が発生したら、できるだけすみやかに以下の手順で対応しましょう。

  1. 建築会社に連絡
  2. 損保会社に連絡
  3. 現地調査と応急処置
  4. 修理工事

 まずは、すぐに建築会社に連絡して必要な修理の見積もりと職人の手配をしてもらいましょう。台風は罹災する家屋が多数発生するので、迅速に手配しないと長期間順番を待つことになります。

 つづいて、ご利用になられている損保会社に連絡しましょう。台風が原因の修理は、費用を火災保険でまかなえることもあります。

 火災保険が利用できるのは「風災」オプションが付いている場合です。風災に対してもカバーできる火災保険なら、たとえば以下の状況で補償されます。

  • 暴風で瓦が飛んだ
  • 暴風で雨どいがはずれた
  • 暴風による飛来物で屋根が破損した

 逆に、以下の状況だと保険の対象外になります。

  • 建物の経年劣化
  • 屋根・外壁リフォームの施工不良
  • 台風が原因と判断できないケース
  • 原状回復以上の工事費

 損保会社に「経年劣化が原因」と判断されないためには、日ごろのメンテナンスが大切です。メンテナンスを怠ると、劣化や大規模修繕を招くだけでなく保険でも不利になります。

 火災保険に関しては、台風シーズン前に今一度、加入されている保険の補償内容を確認しておいてください。補償や掛け金が足りないと感じたら、保険もメンテナンスしておきましょう。

 参考まで、損保会社の風災関連ページのリンクを貼っておきます。一読していただくと、火災保険の風災対応がどうなっているか理解が深まります。

 火災保険に関しては、こちらでも解説しています。お時間ある方は、ご一読ください。

» 火災保険で家が修理できる? 知らないと損する火災保険の補償

 台風で被害を受けたら建築会社に現地調査してもらい、必要であれば被害箇所をブルーシートで覆って、雨水が侵入しないように雨養生してもらいましょう。

 見積もりや修理工事の内容に納得できたら、すみやかに修理工事に取り掛かってもらいましょう。重ね重ね申し上げますが、台風後の修理はスピードが大切です。

 なお、修理費用の目安はこちらで解説しています。詳しく知りたい方は、ご覧ください。

» 【屋根リフォームの基礎知識】工事をする前に知っておいて欲しいこと

 台風のあとは、悪質な訪問業者が現れやすいので注意してください。点検や修繕工事は、信頼できる業者に依頼しましょう。

【まとめ】台風で屋根材が飛ぶ原因と対策、罹災時の対処方法

 近年、台風で屋根が飛ぶ被害が増えています。これまでの常識が通用しないような大型台風も上陸していて、修理に1年以上かかるケースも珍しくありません。

 各ご家庭においては「これまで大丈夫だったから、今後も大丈夫」という考えは捨て、時代に合った備えをしておくべきでしょう。

 本記事では台風の原因や対策について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしていただき、今一度点検を実施していただきたいと思います。そして、必要があれば修理していただきたいです。

 あなたの家族と家を守るため、そして通行人や近隣の家に迷惑をかけないためにも、防災意識の見直しが大切です。

 なお弊社は1978年創業で、経験豊富な1級建築士や職人が多数在籍しております。家に関する台風のご不安にもお応えできますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

お問合せ