外壁塗装をする前に知っておきたい塗料の選び方

 こんにちは! エールハウス社長、一級建築士・宅地建物取引士の伊丹です。

 外壁塗装で使う塗料は、とても選択肢が多いです。選べるのは、色だけではありません。艶(つや)の程度で見栄えが違ったり、主成分の種類で耐用年数が変わったりします。

 にもかかわらず、お客様を迷わせないために1~2種類しか提案しない塗装業者も多いでしょう。その提案がお客様になり代わり徹底的に選び抜いた結果ならいいのですが、適当に選んだものなら不利益以外の何物でもありません。

 今回は、長年外壁塗装に関わってきた経験から塗料の選択肢や選び方について解説します。覚える必要はありませんが、知っておくと塗装業者の提案が理解しやすくなるので「不利益」を避けたい方はぜひご一読ください。

外壁塗装の事前準備

 外壁塗装をするときは、まず状況を把握することが大切です。以下の3つは、どうなっていますか?

  • 外壁の種類
  • 家の所在地
  • ご予算

 それぞれの留意点を項目ごとにご紹介しましょう。

外壁の種類

 外壁材には、いろいろな種類があります。ご自宅はどんな外壁材を使っているのか、確認しておきましょう。いくつか外壁材の例をあげてみます。

  • モルタル
  • サイディング
  • ALC

 外壁材の種類によって、使える塗料と使えない塗料があります。一例をあげると、弾性力のある塗料はサイディングにむきません。

 

所在地

 あなたの家の所在地は、どのような気候でしょうか?気候に合った塗料を選ぶことは、外壁塗装の基本です。意識しておくとよいでしょう。

 たとえば、こんな感じです。

気候

選び方

日差しが強い、日照時間が長い

紫外線に強い塗料を選ぶ

日陰でジメジメしている

防カビ・防藻性能が高い塗料を選ぶ

幹線道路が近く排気ガスで汚れやすい

防汚性能が高い塗料を選ぶ

海が近く潮風が当たる

塩害に強い塗料を選ぶ

 景観関連の条例も、塗料選びに関わってきます。景観条例が厳しいエリアは、使えない色があります。万が一知らずに塗ってしまうと、自治体から修正を指導されることもあります。

 周囲の環境や景観と調和するような色を選ぶことも大切です。

 

予算

 塗料の価格は、ピンキリです。予算を意識しながら、塗料を選びましょう。

 目安として、一番よく使われているシリコン塗料の参考工事価格を載せておきます。この価格を基準に、コストダウンするのか、グレードアップするのか検討していただくといいでしょう。

坪数(延床)

参考価格

25坪

62万円~

30坪

69万円~

35坪

74万円~

 なお、外壁塗装をするときは、屋根やバルコニー防水もあわせて塗り替えてしまう方が多いです。そうすることで足場設置が1回で済み、別々に施工するよりお得になります。

外壁塗装をするときの塗料の選び方

 塗料で選べる選択肢は、色だけではありません。他にどんな選択肢があるのか、一通り知っておくとよいでしょう。

 いくつかご紹介していきます。

人工樹脂による違い

 外壁塗装は一般的に「下塗り×1回・上塗り×2回」と3回塗って仕上げます。下塗り塗料は外壁材と上塗り塗料を密着させるために塗るので、外壁材や上塗り塗料の種類によって決まります。

 上塗り塗料は、その主成分である人工樹脂によって特徴が変わります。外壁塗装では主に4種類の樹脂系塗料が使われるので、頭の片すみに留めておいてください。

  • アクリル樹脂系塗料
  • ウレタン樹脂系塗料
  • シリコン樹脂系塗料
  • フッ素樹脂系塗料

 詳しくは以下の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

【外壁塗装の基礎知識】塗り替え時期の目安は?外壁塗装の相場は?

 

価格や耐用年数の違い

 上述の人工樹脂は、塗料の耐用年数に大きく影響します。参考価格と一緒にご紹介しましょう。

種類

耐用年数の目安

費用の目安

アクリル系樹脂塗料

5~8年

1,400~1,600円/㎡

ウレタン系樹脂塗料

7~10年

1,700~2,200円/㎡

シリコン系樹脂塗料

10~15年

2,300~3,000円/㎡

フッ素系樹脂塗料

15~20年

3,800~4,800円/㎡

 塗料選びは、価格と耐用年数のバランスが大切です。その家に何年住むのか、あと何回塗り替えが必要か、トータルの塗装コストはどれぐらいになるのかシミュレーションしてみるとよいでしょう。

「価格が安い=お得」とはならないことに留意が必要です。

 

いろいろな機能性塗料があることを知っておく

 塗料には、特殊な機能を付加させたものがあります。代表的なものをご紹介しましょう。

機能性塗料

機能の概要

遮熱・断熱塗料

・断熱効果がある

・ガイナが有名

セラミック塗料(無機系塗料)

・断熱効果を持つものがある

・石目調で意匠性が高いものがある

・紫外線に強く退色しにくいものがある

・汚れにくいものがある

ラジカル制御型塗料

・ラジカル(劣化因子)を抑制できる

・チョーキング(白化)が起こりにくい

光触媒塗料

・自浄効果がある

親水性塗料

・塗膜と汚れの間に水が入り込む

・雨水が汚れを流してくれる

 なお、セラミック塗料の機能は、全てのセラミック塗料に共通するわけではありません。

 悪質な業者が、断熱効果のないセラミック塗料を「これはセラミック塗料なので、断熱効果があります」と薦めるケースも発生しているのでご注意ください。

 

色と艶が選べることを知っておく

 塗料は色が選べますが、有色塗料だけでなく透明のクリア塗料もあるので覚えておきましょう。2色以上で色付けされたサイディングは、単色で塗るとせっかくの意匠が台無しになってしまいます。そんなときは、クリア塗料を検討するといいでしょう。

 艶(つや)の程度も選べます。艶加減は「艶あり、七分艶、五分艶(半艶)、三分艶、艶消し」の5段階ありますが、塗料によっては選べないものもあります。

 色と艶は、メーカーのサンプル帳から数色の候補を選び、大きめの塗装見本を作ってもらうといいでしょう。サンプル帳の色見本は証明写真ぐらいの大きさしかなく、外壁に塗ったときに印象が変わってしまいます。

 

溶剤による違いを知っておく

 塗料には、水性塗料油性塗料(溶剤塗料)があります。ここに関心があるお施主様(工事依頼者)は少ないですが、こだわる塗装業者もいるので、知っておくといいでしょう。

 それぞれの特徴をご紹介します。

種類

特徴

水性塗料

・清水で希釈(きしゃく)する

・シンナーの匂いがせず、人体と環境に優しい

・室内の塗装や住宅密集地で使うのにむいている

・扱いやすい

油性塗料(溶剤塗料)

・シンナーで希釈(きしゃく)する

・乾燥が早い

・やや耐久性が高くなる

・密着性が良く樹脂や金属に塗るのにむいている

 塗料はもともと油性しかありませんでしたが、時代の流れで水性が主流になりつつあります。とは言え、水ではうまく希釈できない塗料や水性では密着しない下地もあります。うまく使いわけたいところです。

 

混ぜ方の違いを知っておく

 塗料には1液型と2液型があります。この項目も「溶剤」と同様に関心があるお施主様は少ないですが、こだわる塗装業者がいるので知っておくとよいでしょう。

種類

特徴

1液型

・希釈材を混ぜるだけで濡れる

・扱いやすい

・保管しやすい

2液型

・硬化剤と溶剤を混ぜて使う

・耐久性が高い

・適当に混ぜると不良を起こす

 2液型の塗料は耐久性に富んでいますが、硬化剤の組み合わせや配合比など適当に混ぜると塗料の性能が発揮されません。2液型を採用するときは、必ず信頼のおける業者に依頼しましょう。

主な塗料メーカーを知っておく

 悪質な塗装業者の中には「オリジナル塗料」と称して粗悪品を売りつける会社もあるそうです。インターネットで調べてみて詳細がわからないような塗料は、採用を控えた方が安心です。

 塗装業者がよく使う「三大塗料メーカー」をご紹介しておきましょう。

  • 日本ペイント
  • 関西ペイント
  • エスケー化研

 上述のメーカーの塗料であれば、安心できます。使って問題ありません。聞きなれない塗料メーカーの塗料を採用したいときは、必ず仕様や評判を調べるようにしましょう。

 

【まとめ】外壁塗装をする前に知っておきたい塗料の選び方

 外壁塗装で塗料を選ぶときは、まず「外壁の種類、所在地、予算」などの状況から把握しましょう。これをしっかりやっておくと、塗料をある程度絞り込むことができます。

 そのあとは、塗料の価格と耐用年数のバランスを意識しながら、お好きな塗料を選んでいくとよいでしょう。必ずしも「安い塗料=お得」とならないことにご注意ください。

 じつは、塗料選びと同じぐらい大事なのが塗装業者選びです。外壁塗装は「素人では業者の手抜きがわかりにくい」と言われていますので、信頼できる業者を選びましょう。

 なお弊社は1978年創業で、経験豊富な1級建築士や職人が多数在籍しております。横浜・藤沢・逗子・横須賀・湘南エリアにて建築工事だけでなく外壁塗装も自社施工していますので、塗装のお悩みもお気軽にご相談ください。

 

 横浜・藤沢・湘南エリアでリフォーム・リノベーション・新築をお考えの際は、お気軽にエールハウスまでご相談下さい!

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